「お店が忙しくて、クタクタに疲れた」
「お客様からのクレームに対応して、心がすり減った」
そんなときに、「もっと楽なアルバイトに変えようかな」と考えてしまうことは誰にでもあるのではないか。
しかし、そもそも「楽な仕事」って、どんな仕事なのだろう。アルバイトの経験がある人は、どんなアルバイトを「楽」だと感じているのか――。パート・アルバイトなどの求人情報の株式会社ビズヒッツが、男女500人に聞いた。2021年1月26日の発表。
楽なのは「イベント・キャンペーン」
調査によると、「あなたはどのようなアルバイトを楽と感じますか」という、楽なアルバイトの「条件」を聞いたところ、1位は2位以下を大きく引き離して「簡単でマニュアルどおり」のアルバイトだった。172人が答えた。自分で考えたり判断したりしない単純作業や、指示やマニュアルどおりに進める仕事を「楽」と考える人が多いことがわかった。
2位は「体力を使わない」が65人、3位が「忙しくない」の62人、4位「人との接触が少ない」39人、5位「自分のペースで働ける」の23人と続く。「体力を使わない」以外の答えは、「精神的な負担が少ない」ことにつながっているといえそうだ。
では、具体的にどんなアルバイトが楽なのか――。「これまで経験した中で一番『楽』だったアルバイトは何ですか」の問いに、最も多かったのは、試験監督やティッシュ配りなど「イベント・キャンペーン」のアルバイトで117人だった=表参照。
2位は簡単な作業を繰り返す「軽作業」で109人、3位は「販売・接客」の100人と、1~3位までが100人を超える回答を集めた。4位は大きく差が開いて、「受付」の33人、5位が塾講師や家庭教師など「教育」の23人と続いた。
「イベント・キャンペーン」や「軽作業」は、楽なアルバイトの「条件」に当たる「簡単」「指示・マニュアルどおり」を満たしていることがわかる。
1位の「イベント・キャンペーン」のアルバイトを「楽」だと思う理由を聞くと、
「すべてマニュアルや指示があり、何も考えずに作業ができるから」(試験監督、20代女性)
「現場で指示に従うだけの補助的な仕事であったため、非常に楽でした」(イベント会場の設営補助、30代男性)
「配布するチラシを自家用車で取りに行く時のみ限られた人と接し、後は一人で淡々とチラシを配るだけなので、人間関係の煩わしさがない」(ポスティング、40代女性)
といった声が寄せられた。
イベント・キャンペーンのアルバイトは、マニュアルや責任者の指示に従って、簡単な作業をするだけの仕事が多く、難しいお客様対応もほぼない。また、単発での募集が多いことから、「一緒に働いたスタッフの名前を知らずに終わる」という現場もあり、人間関係のストレスも少なめなことが、「楽」と評価された。
2位の「軽作業」も、簡単で人間関係のしがらみがないアルバイト。
「座って仕事ができるし、覚えることがない」(封入作業、20代女性)
「言われたとおりに流れてくる商品を箱詰めするだけの作業だったので頭を使わず、一定の動きだけすれば問題なかった」(物流倉庫でライン作業、30代男性)
などの声がある。
3位に「接客・販売」対人的なストレスはないの?
一方、3位の「接客・販売」は、レジ作業など覚えることが多く、基本的には立ち仕事で、人との触れ合いや会話の機会が少なからずあるので、「楽なバイト」の条件とは合わないように思えるが、「楽」だと思う理由を聞いてみると、
「田舎のコンビニなので誰も来ないし、一人だったので資格の勉強ができたから」(コンビニの夜勤、20代女性)
「まったくお客様が来なくて、ずうっと携帯を見て何もしなくてよかった」(古本屋、30代代男性)
「お客対応と返却されたビデオの整理ぐらいしか仕事がなく、お客がいない時はレジ奥でビデオを見て過ごすことができた」(レンタルビデオ屋の店員、40代男性)
といったように、「暇な店や時間帯で勤務していた人」から寄せられた体験談が多かったためとみられる。また、「ファミレスのホール。マニュアルにそって業務を行うのみで、何か問題があれば社員(責任者)が対応してくれた」(30代男性)という人もいた。
4位の「受付」は、意外に暇な時間が多いため、楽なようだ。
「完全予約制のため決まった時間に少人数しか来ず、予約時間以外はただ受付に座っているだけだった」(マンションギャラリーの受付、20代女性)
「お客様が落ちついていて、対人的なストレスがない」(ホテル宴会クローク係、40代女性)
「コミュニケーションスキルが必要で、大変」と思われがちな受付業務だが、「接客対応だが、単純作業でイレギュラーなことが起こりにくい」(30代女性)
との意見がみられた。
5位の「教育」には、
「勉強自体も難しいものではなく、小学生と楽しく話をしながらその子のペースに合わせて授業をしていたので、体力的にも頭脳的にもかなり楽でした」(小学生の塾講師、20代女性)
「そんなに難しい問題などもなく、基本的にはワークなどの問題を解かせて、その間自分はただ見ているだけだった」(中学生の家庭教師、30代男性)
との声が寄せられた。
意外に楽かも? コールセンターのオペレーター
6位は、一人で作業に没頭できるなどの理由から「清掃・皿洗い」が、7位には仕事内容が限られているとの理由で「事務」、8位は一人の時間が長くて気楽なデリバリー宅配などの「配送・ドライバー」だった。
9位には「テレオペ・テレアポ」が入った。コールセンターなどのオペレーターは、マニュアルどおりに話すだけの座り仕事とはいえ、いわゆるクレーマーの処理などで精神的な負担は少なくなさそうだが、スーパーバイザーやセンター長が常駐しているので、難しい対応は、指示を仰いだり交代できたりするという。
10位は「警備員・監視員」と「データ入力」のアルバイト。警備員・監視員は、緊急事態が起こらなければ、ほぼ動かないこと。データ入力は座って黙々とパソコンと向き合う仕事で対人的なストレスがないことから、「楽」なようだ。
なお、調査はアルバイト経験のある全国の男女500人(女性351人、男性149人。任意回答)を対象に、2021年1月12日~13日にインターネットで実施した。