日経平均株価30年6か月ぶりの3万円超! バブル崩壊の「ピークを知る」アナリストたちが分析する

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バブル時は土地を買った。今は健全な企業を買う

   ロイター通信(2月15日付)の「日経平均3万円:今回は日本単独の株高でない、なお上値余地」によると、三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は30年前との違いをこう説明した。

「30年前は日本単独のバブルだったのに対し、今回は世界全体の流動性相場であることが異なる」

として、次のように指摘する。

「(80年代バブルと現在の違いは)景気悪化による金融緩和策と財政出動という仕組みは同じだが、前回は円高不況克服という日本単独のものだったのに対して、今回はコロナ禍克服のために、日銀、FRB(米連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)と世界3極がいずれも超緩和策を打ち出し、各国が巨額の財政出動を行うなど、世界的な潮流となっていることが根本的な相違点だ。現在のPERはS&P500で23倍、日経平均は24倍にすぎない。コロナ禍に対してイノベーション対応した企業の業績は好調だ。それらを買っている訳で、単に土地持ち企業を買っていた過去とは異なり、今は理性的な動きと言える」

   そして、今後の日本株の見通しについて、

「業績好調な業種は来期もさらに収益が上向くだろう。加えて、ワクチンの接種が始まれば、今後はコロナ禍で低迷した企業の業績回復も見込まれる。さらなる上値余地があるのではないか」

とみている。

世界経済はどこへ向かうか
世界経済はどこへ向かうか

   また、岡三オンライン証券のチーフストラテジスト、伊藤嘉洋氏は「3万円」という水準について、

「かつてのバブル崩壊時の下げ局面とは逆方向の大台突破であり、上値追いの期待ができる。現在の株高の背景には新型コロナウイルス感染拡大の終息と景気回復への期待感があり、今後は企業業績の回復が焦点になる」

とし、今の株式市場の特徴をこう指摘する。

「日経平均株価は1990年から暴落したが、今は『いつか来た道』を逆にたどっている状況だ。過去に経験した水準なので手探りではなく、投資家の不安も多くはない。ただ、今後は企業業績との兼ね合いで、数字でしっかり景気回復を確認できるかどうかが、上値を追うポイントとなりそうだ」

   そして、今後の株式市場のリスクについて、

「以前のように借金までして株を買ったり、PER(株価収益率)が全体的に40~50倍まで上がってきたりしたら警戒しなければならない。また、以前は指数銘柄だけで日経平均が1万円も上がったこともあった。そうした指数寄与度の高い銘柄群の異様な急騰にも注意が必要だろう」

   ロイター通信の取材に、岡地証券の投資情報室長、森裕恭氏もこう指摘した。

「日本株市場は以前よりも健全になった。企業業績に従って株価が上昇しているだけで、バブル色は薄い。一方、ゲームストップ株の件をみる限り、米国株こそバブルの色彩を強めてきた様子だ。バブルの最大の特徴は、実態の裏付けが乏しいものが買われる、あるいは実態から極端に乖離(かいり)して買い進まれることだ。日本では80年代の土地持ち企業、ITバブルの情報通信株、米国でもかつてはエンロンのケースがあった。
ところが、現在の日本株はそうした事象が起きていない。というよりも、バブル当時の経験が活かされているためか、コンプライアンスが厳しくバブルが起きにくくなっている。相場の姿として健全だ。かつてのような、本質的な意味でのバブル相場は起きないとみている」

   2017年に「日経平均株価3万円への道」を掲げたマネックス証券は、いわゆるトランプ相場」に振り回されたこともあり、2018~19年前半までは波乱含みの展開が続いたとしながら、「それでもわれわれは(株価3万円の)旗を降ろさなかった」と胸を張った。

   チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、こう述べている。

「ここから上は事実上の真空地帯。戻り待ちの売りなんか出てこない。新たな視界が開けた今、上昇ピッチが加速する可能性は低くない。持たざるリスク、FOMO(fear of missing out=取り残される恐怖)、そんなことを心配できる日が来るとは。感慨ひとしおだ」

(福田和郎)

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