「ID・パスワード」から「ブロックチェーン」も
実例集のなりすまし防止法は、企業によってさまざま。プラットフォームやソリューションに関する事業を手がけるIT企業のパイプドHD(東京都港区)は議決権行使書に記載したID及びパスワードでログインできるよう設定。ヤフーから2019年10月に名称変更したZホールディングス(東京都千代田区)は、株主番号と届出住所の郵便番号、そして保有株式数と、株主固有の複数の情報で認証する仕様にした。
映像や画像を使った確認方法も使われた。スマートフォンアプリやオンラインゲームのガーラ(東京都渋谷区)は、オンライン出席の場合、その事前の段階で、株主番号、氏名、住所に加えて、議決行使書の画面キャプチャの提出を求めた。人材関連のソーシャルウェブメディアやクラウドアプリケーションなどに携わるグローバルウェイ(東京港区)は、オンライン出席の受付時に画面に顔や整理番号を映すことを求め、本人確認した。
ソフト開発のアステリア(東京都品川区)は「議決権行使データの改ざん防止を図り、より透明性の高い議決権行使を実現するため、ブロックチェーン技術を利用した議決権行使システムを活用した」と、紹介している。
ガイドラインでは「出席型の論点」としてほかに、「配信遅延の対応」や「通信障害対策」のほか、「質問の受付・回答方法」「動議の取り扱い」などの事例も紹介している。政府は、リアル総会を伴わないオンラインだけで行う株主総会のニーズが高まるとして、会社法の特例措置を設ける方針。2021年2月5日には、株主総会の全面オンライン開催を可能にする産業競争力強化法などを一部改正する法律案を閣議決定。改正案は今国会に提出された。
今回のガイドラインでは、いきなり「出席型ではハードルが高い、まずは参加型で」という企業のための入門編として「参加型・出席型共通の論点」を示している。