若いビジネスパーソンを中心に、「スマホ証券」が話題になっている。
スマホ証券とは、スマートフォンでの取引に特化した新しい証券会社を指す。具体的には、「One Tap BUY」や「SBIネオモバイル証券」「LINE証券」「PayPay証券」「SMART+」「FOLIO」などといった証券会社がそれ。そんなスマホ証券の利用状況などを、リサーチ会社のマイボイスコム(東京都千代田区)が調査した。
取引を始めたきっかけは「口座開設キャンペーン」
株式投資はいまやネットが当たり前。野村証券や大和証券、SMBC日興証券といった証券大手からインターネット取引専業の「ネット証券」。それに加えて、スマートフォンさえ持っていれば利用できる「スマホ証券」が登場。しのぎを削っている。
スマホ証券は、スマホに専用アプリをダウンロードすれば、口座開設の申し込みから入出金の指示、投資情報が入手できて、取引できる。
他のネット証券などとの違いは、なんといってもスマホだけですべてが完結できること。ふだんから携帯しているので、「いつでも」「どこでも」投資できるのが魅力。また、少額から取引できて1株単位で買えることや、売買手数料が無料や安いこと、取扱商品が限定されているなどの違いがある。
マイボイスコムの調査によると、「直近1年間にスマホ証券で取引をした人が始めたきっかけ(複数回答)」は、「口座開設キャンペーン」が43.3%でトップ。次いで「手数料が無料・安い」(34.3%)、「ポイントで取引ができる」(31.3%)がそれぞれ3割強で続いている=下図参照。
ただ、「今後、スマホ証券を利用したいと思うか?」と聞くと、「利用したい」いう意向がある人は15.6%(「利用したい」7.6%と「やや利用したい」8.0%の合計)=下の円グラフ参照=と、2割に満たなかった。案外少ないようだが、男性や若年層は高い傾向で、10代~30代の男性では3割を超える。「利用したくない」と答えた人も、46.2を占めた。
スマホ証券の利用意向がある人が重視する点(複数回答)は、「手数料が無料・安い」が68.0%、「口座開設が簡単」が51.8%、「少額から株が買える、1株単位で買える」が44.6%。女性では「少額から株が買える、1株単位で買える」、若年層では「口座開設が簡単」の比率が高くなっている。
根強いパソコン取引 認知度はまだ...
「スマホ証券を利用したい理由、利用したくない理由」(有効回答は6404件)を聞くと、
「利用したい」派は、
「スマホならどこでも直ぐにチェックできて便利だから」(女性、46歳)
「24時間申し込めそうだから。店舗に行くのは敷居が高い」(女性、45歳)
「ポイントだけで取引できると言う広告を見てちょっと興味がわいた」(女性、58歳)
一方の「利用したくない」派は、
「通信等の安全面で、新規の会社は信頼性が持てない」(男性、38歳)
「スマホのセキュリティや操作に不安感があるから」(女性、59歳)
「小さな画面での取引は、見落としや間違いが起きやすいように思うので」(女性、68歳)
「どちらともいえない」派の人は、
「スマホは消耗品で交換するスタンスが短いのでデータの引継ぎとか面倒(女性、58歳)
「今のところ投資にまるで興味がないが、やるとするならスマホでだろうから」(女性、31歳)
といった声があった。
「証券会社での取引状況」をみると、直近1年間に証券会社で取引した際、インターネットで取引した人は25.5%。そのうち、「パソコン用取引ツール」を利用した人は81.7%、「スマートフォン用のアプリ・ツール」を利用した人は36.1%だった。
スマホ証券は「いつでも、どこでも、低価格投資から」というメリットがある反面、直近1年間で取引した人は5%に過ぎないこともわかった。まだまだパソコン取引が根強いが、最近はテレビやインターネットでスマホ証券のCMを見ない日がないほど。利用者を増やしていきたいところだ。
なお調査は、2021年1月1日~5日に実施、1万15件の回答を集めた。