女性被害者が多いのは「預貯金詐欺」
オレオレ詐欺の手口としては、「会社でのトラブル・横領等の補填」といった損失補填金などを名目としたものが最も多く、全体の60.6%にのぼっている。架空料金請求詐欺では有料サイト利用料金等を名目としたものが52.0%と半数を超えている。また、還付金詐欺では、医療費の還付を名目としたものが61.3%と最も多い。
被害者の属性では、特殊詐欺全体では女性73.6%、男性26.4%と圧倒的に女性被害者が多い。
ただ、類型によっては男女比の濃淡がある。女性の被害者割合は預貯金詐欺で83.7%、オレオレ詐欺80.1%、キャッシュカード詐欺79.6%、還付金詐欺66.8%で高くなっている。
一方、男性は交際斡旋詐欺で91.3%、ギャンブル詐欺70.4%、融資保証詐欺69.7%で高くなっており、架空料金請求詐欺では男性47.5%、女性52.5%、その他の特殊詐欺では男性58.1%、女性41.9%と拮抗している。
被害者の年齢階層別では、80歳以上が46.4%と最も多く、次いで70~79歳が32.4%、60~69歳が6.8%となっている。65歳以上の高齢者の割合は85.7%を占める=図4参照。
特に、預貯金詐欺では98.4%、キャッシュカード詐欺では96.7%、オレオレ詐欺では94.2%、還付金詐欺では87.6%が65歳以上の高齢者となっており、このうち預貯金詐欺では84.0%が、オレオレ詐欺では79.7%が女性となっている。
言い換えれば、65歳以上の女性は、特に預貯金詐欺とオレオレ詐欺の被害者になる可能性が高く、十分に注意が必要ということだ。また、類型別の年齢階層別に被害者を見ると、預貯金詐欺の被害者の51.0%が80~89歳の女性で、圧倒的に高い比率となっている。
特殊詐欺全体では件数、被害金額とも減少傾向にあるものの、高齢者が被害者となる、もしくは高齢者を狙ったケースが圧倒的となっており、被害を防ぐ対策を一層充実させていく必要がありそうだ。(鷲尾香一)