多くの人が予想する「円高」シナリオが崩れるかも? そのワケを明かそう!(志摩力男)

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通貨の強弱を決めるのは何か?

   ドル円は、2020年7月1日に1ドル=108円16銭から引いたトレンドラインを1月28日に突破し、上値余地を拡大しています。一目均衡表の雲も同じようなところにありましたが、あっさりと上抜けしていきました。

   現状105円前後で推移していますが、これだけ円高方向の動きが何度も否定されていたとすれば、何かが起こっているのかもしれません。

   米国経済もコロナの影響で2020年はオペレーションを縮小しましたが、コロナ禍の環境に強いIT企業が米国にはたくさんあります。生産水準は、すでにコロナ禍前の水準を抜いてきました。ところが、日本企業全体の生産水準は極めて低く、まだコロナ禍前の3分の2といった水準です。

   通貨の強弱を決めるのは何か?

   いわゆる「国力」というものではないかという意見もありますが、「国力」ではあまりにも漠然としています。富を創造するのは企業だけだということを考えると、強い企業をたくさんその中に持つ国が強い国であり、将来的に通貨価値が上昇するのだと思います。

   日本には米国のIT企業と戦える企業はほとんどありません。いまだに大きな時価総額を誇るのはトヨタ自動車ぐらいであり、それでも時価総額は20兆円を少し超えたところです。米国には240兆円に迫ろうというアップルがあり、100兆円を超える企業としてアマゾンやマイクロソフトなどがあります。アジアにもサムスン(韓国、40兆円企業)やTMSC(台湾、約60兆円)があります。

   すなわち、日本には競争力がない。そうであるならば、円高トライは今後ますます難しくなっているのでしょう。2021年、今年は意外な円安。そんな気になっています。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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