「金持ち企業ランキング」調査で、「任天堂」が前回調査に続き、1位となった。法人会員向けに与信管理ASPクラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社が2021年2月1日に発表した。
前回調査(8回目)が2020年3月期決算をベースに集計したため、20年4月以降の新型コロナウイルスの感染拡大による影響を加味していないことから、コロナ禍の影響を調査するため、最新の中間決算(4~9月期)を集計して「特別版」としてランキングを作成した。
中間決算で算出の「特別版」
「金持ち企業ランキング」は、決算書の記載に基づき算出した「ネットキャッシュ」(企業の実質的な手元資金のこと)を比較。現預金と短期保有の有価証券の合計額から、短期・長期の借入金や社債などの有利子負債と前受金を差し引いたもので、企業の財務健全性が判断できる。
1位の任天堂のネットキャッシュは9926億円。次いで、塩化ビニル樹脂や半導体ウエハなどで知られる信越化学工業の8029億円、3位は空気圧制御機器メーカー、SMCで5761億円。
4~10位は、自動制御機器や計測機器などのキーエンス(4878億円)、セコム(4136億円)、電気機器メーカーのファナック(4022億円)、セブン&アイ・ホールディングス(3491億円)、自転車部品や釣具製造のシマノ(2724億円)、自動車・航空機部品製造の小糸製作所(2378億円)、大正製薬ホールディングス(2371億円)の順となった=下表参照。
トップ10のほか、上位20位までの顔ぶれに大きな変化はないが、家具や雑貨を扱うニトリホールディングスが前回の25位から11位に、また電子部品の東京エレクトロンが26位から16位から大きくランクアップ。「両社は好調な業績を背景に、高水準の営業キャッシュフローを確保することで現預金を蓄積しネットキャッシュを増加させた」と、リスクモンスターはみている。
上位企業は6割がキャッシュ増加
前回上位20社にランクインしていた企業のうち、コロナ禍で一時休業した東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(前回20位)や、大成建設(同8位)、塩野義製薬(同12位)、バンダイナムコホールディングス(同18位)が上位20社圏外になった。
上位20社にランクインした企業について、前回ランキングでのネットキャッシュを比較したところ、12社(60%)が増加し、8社(40%)で減少する結果になった。
集計企業全体(2282社)を対象にした前回ランキングとのネットキャッシュ比較では、685社(30%)が増加し、1597社(70%)が減少。このように全体ではネットキャッシュ増加企業の割合が30%の一方、上位企業では60%と2倍の水準となっており、上位企業ではネットキャッシュ蓄積を進めている傾向が表れている。
リスクモンスターは、
「経営の3大資源の一つである『カネ』を保有しておくことは、安定した経営を実現するうえで必要。集計企業全体では7割以上でネットキャッシュが減少する厳しい経営状態となっており、昨今の経済情勢下で飲食業や小売業など資金繰り破綻する企業が相次いでいる世の中の状況を反映する結果となった。
一方、トップ20企業においてネットキャッシュが増加している企業は12社と半数を超えていることから、今後の経済情勢も考慮して経営の安定性を高めるための戦略としてネットキャッシュの蓄積を進めている可能性が考えられる」
とみている。
「金持ち企業ランキング」で連続1位になった任天堂は2021年2月1日、2021年3月期の連結業績予想について、従来の3000億円から4000億円(前期比54.7%増)に上方修正を行った。今期2度目の上方修正で、引き続き、2009年3月期の2790億8900万円を12年ぶりに上回り過去最高益を更新する見通しだ。