コロナ禍で卸売りや食材納入業者も悲鳴 8割超が減収、赤字は4割に

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   新型コロナウイルスによる感染拡大で、飲食店が政府や自治体の休業要請を相次いで受け入れたことで、その飲食店に生鮮食品や食肉などを卸売業者や、酒類などの食材納入業者、5000社(2020年10月までに決算が判明した企業)の事業者のうち8割超に当たる約4300社が、前年度から売り上げが減少していたことがわかった。帝国データバンクが2021年1月27日に発表した。

   売り上げの減少幅は平均で前期比約2割に達しており、半減した企業も多いという。

  • 緊急事態宣言に伴い「休業」することを告知した都内飲食店の張り紙
    緊急事態宣言に伴い「休業」することを告知した都内飲食店の張り紙
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酒類卸は居酒屋向け振るわず9割超が減収

   調査によると、前年度から減収だった約4300社のうち、利益動向がわかっている約1400社の3割が最終損益で赤字に転落、6割が前年度から減益となり、悪影響を受けた企業は9割に達した。

   事業者からは、

「外食向けの業務用販売が落ち込んだままで、回復の見通しが立たない」(食肉卸)

といった声が聞かれ、コロナ禍で苦しむ飲食店と取引する企業にも連鎖が及んでいることが鮮明になった。

   最も影響が大きかったのは酒類の卸業者で、2020年度の業績が判明した681社のうち634社、全体の9割超が前期比で売り上げを落とした。

   生鮮魚介卸でも全体の9割に迫る企業で売り上げが減少。折からの不漁により供給体制が不安定だったことに加え、飲食店向けの需要急減が追い討ちをかけた。

   食肉卸や野菜など青果類の卸業者でも新型コロナウイルスの影響で飲食店向けなどが振るわず、緊急事態宣言の発出された4~5月にかけては前年同月比で半減以上の売り上げ減少に見舞われた企業もあるという。結果的に7割以上の企業が前期比で減収を余儀なくされた。

   飲食店にかかわるサービス事業者は少なくない。

   ネットには、

「運転代行業です。飲食店への休業要請でもろに煽りを食らってます。通常月で400万円ほどの売り上げがありますが、今月(2021年1月)は昨日までで40万円しかありません。経費引いたら完全赤字です」
「食品卸を経営しています。スーパーやドラッグストア向けは好調ですが、外食、飲食業者への売り上げは前年比70%ダウンです。飲食店への支援も必要ですが、それに関わる業者は補償対象として20万円、40万円という金額の補助だけです。会社によってはそれまでの貯えの有無で状況の厳しさはあるとはいえ、政府の支援の仕方には不満があります」
「納入業者には協力金なんてないのにね。お気の毒。やっぱりどこかに偏った支援や自粛要求は良くないと思う。数年間の時限付きでいいから消費税凍結すればいいのに。支出の8~10%を支給するのと同じ効果があるし、日本のすべての国民と企業に遍く恩恵がある。やらない理由はないと思うんだけどね」
「飲食店ばかり取り上げられて食材卸、メーカーも大きく利益を落とすことはわかっていたはず。他にも影響を受けている業界も多くある。6万円のバラまきを止めて政策を再考してほしい」

といった憤りとも受け取れる声が寄せられている。

政府の支援は...... 年度末に向けて警戒

   その一方で、こうした企業を支援する動きも広まっている。食品宅配サービスの企業では、大手飲食店チェーンの看板メニューの料理を作れる食材の販売を実施。飲食店向けの食材仕入れECサイトは「コロナ禍で困っている生産者の食材を販売支援」として、サイト内に「一般家庭向け販売ショップ」を設けた。

   また、大手外食チェーンでは、生産者や納入業者から仕入れた食材を店頭で販売するなど、一般向けに業務用食材の販売支援を行う取り組みを始めている。

   2度目の緊急事態宣言をめぐって、政府は飲食店の時短営業や営業自粛が関連業者へも大きく影響することから、飲食店の取引業者にも支援の方針を表明。食材などを納入している事業者に対して支援金を給付することを決めている。

   ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、緊急事態宣言も10都府県を対象に延長され、飲食店などの休業自粛や時短営業も続いている。年度末にかけて、卸売り業者などへの影響がさらに深刻化することが懸念されている。

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