「就職人気企業ランキング」の過去10年間(2013~22年の卒業生対象)で、トップ10以内を連続してキープしている企業は、伊藤忠商事とJTBグループの2社だけだったことが、就職情報サービス会社の学情の調査でわかった。2021年2月1日に発表した。
コロナ禍の影響が色濃い2022年卒のランキングでは、21年卒の採用を中止した「旅行・航空」各社は軒並み順位を下げているが、その中にあってJTBは大健闘。そのワケは......。
高い人気誇った「メガバンク」「航空」は......
調査によると、2013年卒の「人気企業ランキング」では、トップ10にメガバンク3社がランクイン。2位に三菱東京UFJ銀行(現在は三菱UFJ銀行)、6位にみずほフィナンシャルグループ、9位に三井住友銀行の名前が並ぶ。今から数年前までは金融系の人気が高く、三菱東京UFJ銀行は2017年卒のランキングまで10位以内をキープした。2013年卒の1位はJTBグループだった。
2014年卒では、伊藤忠商事が前年の4位から1位に。金融系では、前年はトップ10圏外だったゆうちょ銀行が9位に入った。15年卒ではJTBグループが前年の3位から1位に返り咲き。この年は旅行やレジャー、運輸に関係する企業の人気が高く、2位にオリエンタルランド、3位にANA(全日本空輸)、7位JAL(日本航空) 、8位にJR東日本(東日本旅客鉄道)、9位にエイチ・アイ・エス(H.I.S.)が入った。
2016年卒~19年卒では、ANAが4年連続で首位を独占。JAL(日本航空)も7位→2位→2位→3位―とトップ10に入っており、現在の社会人2年目から5年目にあたる世代が就職活動をしていた時期は、「航空」が高い人気を誇っていた。JTBグループやオリエンタルランド、エイチ・アイ・エスの旅行・レジャー各社も引き続き人気を集めた。
2020年卒~22年卒は、3年連続で伊藤忠商事が首位を獲得。この間は、味の素(2位→3位→2位)やアサヒ飲料(8位→6位→3位)など「食品」も高い人気を誇っている。任天堂が、21年卒で9位、2022年卒で6位にランクインし、この2年間で人気が高くなった。
22年卒のランキングは、20年4~9月期の純利益が他の総合商社を上回った伊藤忠商事が1位を獲得。また、スーパーが好調なイオングループなど、コロナ禍で「巣ごもり消費」や「ステイホーム」を支える企業も人気を集めた。
2013年以降、1位の座を4回獲得した伊藤忠商事と、2回獲得のJTBグループの2社は、10年間トップ10に入り続けた貴重な存在。22年卒のランキングでは、21年卒の採用を中止した「旅行・航空」の各社が軒並み順位を下げているが、学情では「『採用再開』を願う学生の想いが、JTBグループのトップ10入りを後押ししたと推察される」としている。