解除の目安「東京で1日500人」は緩すぎる
さて、肝心の緊急事態宣言の解除の目安だが、菅義偉首相は記者会見で、
「新規感染者数でいえば、東京で1日500人、大阪で1日300人を下回ること」
などと数字を示した。
この「東京で1日500人」の目安について、「ゆるすぎる基準だ!」と厳しく批判するのが産経新聞(2月3日付)「第4波阻止 都内感染100人以下に」だ。
「緊急事態宣言の期間が1か月延長された。昨秋からの『第3波』を数値上は克服できても、『第4波』の到来を防ぐことはできない。感染の徹底した封じ込めが今、求められている。感染症の専門家の中には『この勢いで減少すれば3月上旬に200人を切る』との見方があるが、これだけ減少させても、収束に向かうと言い切れないのが、コロナ対策の難しいところだ。実際、『第3波』の発生は、昨夏の『第2波』を完全に封じ込めなかったのが要因だ」
さらに産経新聞は、こう指摘する。
「医療関係者の間では『十分な追跡調査を行うには100人を切る必要がある』との指摘もあり、新型コロナ対策分科会メンバーで経済学者の小林慶一郎氏も2月2日、記者団に『100人を切るか切らないかくらいまで落とすことができれば、感染者をコントロールしやすい』と語った」
多くの人はすっかり忘れているが、昨年(2020年)4月に最初の緊急事態宣言が発令された時の東京都の新規感染者数は87人だった。そして5月に解除された時は8人に減っていた。それが現在、「500人に減ったら宣言を解除しよう」という議論になっている。「第3波」がいかにすさまじいか、よくわかる。逆にいうと、東京都で8人にまで減らしても、「第2波」「第3波」を防げなかったことになる。