2020年末、自民・公明両党の税制調査会が21年度の税制改正大綱を決定し、政府税調に答申しました。順調にいけば(偶に揉めることがあります)2021年1月召集の通常国会で答申内容を反映した税制改正関連法案が審議され、可決成立する見込みです。
今回の税制改正大綱では、19年10月から10%に改定された消費税対策として特例で導入された住宅ローンの控除期間の13年への延長が継続されることになり、この特例措置の入居期限も20年末から22年末へと2年間引き延ばされました。これはコロナ禍の影響を受け資材調達の遅れや工事の中断を余儀なくされた新築住宅に対する対応措置です。
これに加えて、今回は住宅ローン控除の対象となる住宅の床面積および専有面積が従来の50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和されることになりました。
都心マンションの購入検討者に朗報!
一般に、延べ床面積40平方メートル少々の戸建て住宅は想定しにくいですから、この緩和措置は専らマンション分譲、中古マンション販売時に威力を発揮することになります。
これまで住宅ローン控除の対象となる50平方メートル以上の住宅を購入することが難しかった主に若年層購入者には、2021年度から購入を検討するコンパクトな新築および中古マンションが住宅ローン控除の対象に加わることになるわけですから、恩恵を受けられるという意味では朗報と言えるでしょう。
40平方メートル台のマンションは、間取りとしては主に1LDKや2DKですが、最近は間取りのバリエーションも大変多く、またテレワーク仕様に変更可能なプランや小さいワーキングスペースを用意している物件などもあり、中古でもリフォームで間取りの変更は容易ですから、これらが4月から住宅ローン控除の対象になれば、マンション購入希望者から大いに注目されることになりそうです。
この緩和・変更によって、これまで各金融機関が取り扱う「住宅ローン」商品では、おおむね50平方メートル以上とされてきた対象物件(少数ながら例外あり)の面積要件が、2021年4月以降原則として40平方メートルに引き下げられることになるでしょう。制度が変わっても50平方メートル未満の住戸には「住宅ローン」は利用させないという頑なな金融機関は皆無であろうからです。
今後4月に向けて、各金融機関では住宅ローン商品の対象となる物件の専有面積を住宅ローン控除の緩和条件に合わせるべく改訂する作業に追われることになります。
しかし、この面積要件の緩和措置には、問題がまったくないないわけではありません。
計画をしっかり立てて、新たに住宅ローン控除の対象となるコンパクトタイプのマンションを購入しようと考えている希望者にとっては確かに歓迎すべきことかもしれませんが、予算的にギリギリで検討されている方には想定より大きなローンを組ませることになりかねず、さらにはローン審査が通らない可能性もあるからです。