「住みたい街」に変化 「遠すぎた街」も選択肢に
本書では、東京の湾岸エリアにある2つのタワーマンションの行方に注目している。一つは東京五輪の選手村として利用され、閉幕後に全面改装して分譲される予定だった「晴海フラッグ」。もう一つは、江東区有明の複合商業施設「有明ガーデン」内の住居施設、「シティタワーズ東京ベイ」というタワーマンション3棟だ。
仮に五輪が中止または延期になった場合、「五輪」という付加価値、ストーリーが消え、「五輪価格」が維持できなくなると見ている。
リモートワークによって、「通勤」という枷がなくなり、郊外やベッドタウンの「住みたい街」が変わりそうだ、としている。
人気が下がりそうな街・沿線として、湾岸エリア(晴海・有明)、武蔵小山(東京都品川区)、武蔵小杉(川崎市中原区)、津田沼(千葉県習志野市)、地下鉄東西線沿線を挙げている。
反対に人気が上がりそうなのが、湘南・熱海(JR東海道線)、三浦海岸(神奈川県三浦市)、成田周辺(千葉県成田市)、高尾(東京都八王子市)、山中湖(山梨県山中湖村)。
リモートワークの普及は、十数年間続いた「都心回帰×タワマン」の流れを変え、郊外の中古戸建て、都内のミニ戸建てが人気になっているそうだ。
「どこに買うか」という住まいの購入だけではなく、「どこに借りるか」という賃貸住宅選びにも変化が出ているという。2020年9月に住宅情報サイト「ライフルホームズ」が発表した「借りて住みたい街ランキング」を紹介している。
1位が本厚木(神奈川県厚木市)、2位に葛西(東京都江戸川区)、3位が大宮(埼玉県さいたま市)、4位が千葉(千葉県千葉市)と続いている。通勤の負担が軽減されたため、「遠すぎた街」まで選択肢に入ったという。
本厚木の駅前の商業集積はすさまじいものがあり、「毎日あの街をウロウロと歩けばどれだけ楽しいだろうと考えてしまう人が多いと思う」と書いている。葛西も地味だが、大きなショッピングモールやスーパー銭湯があり、日常の暮らしは便利そうだ。大宮も商業施設が集積しており、交通の要衝だ。「家賃が高くない」のも共通しているという。