「死者40万人。五輪どころじゃない米国の惨状」
さて、その米国はどう動くのだろうか――。東京五輪については2021年2月1日現在、ホワイトハウスは沈黙を守っている。ホワイトハウスのサキ大統領報道官は1月22日の記者会見で、
「(個人的には)オリンピックの大ファンとして楽しみにしているが、まだバイデン大統領は安全保障チームと協議していない」
と述べただけで、以後数日間、同じ答えを繰り返している。
スポーツ報知(1月30日付)「死者数40万人超、失業、医療崩壊深刻 五輪どころじゃない米国の実情」によると、米スポーツ界は五輪の話題さえ上がっていないようだ。
「米国の五輪報道に日本との温度差を感じることは否定できない。新型コロナの感染者は2400万人、死者数は40万人を超えた。人々は五輪どころではないのが実情だ。米国はNBCが独占放映権を持つ報道体制の違いも大きい。NBCは2014年、77億ドル(約7900億円)を投じて2032年まで冬季を含む五輪放映権を獲得。五輪期間中は独占的に中継を行うが、他局は一切それがない。スポーツチャンネルさえ五輪を取り上げない。日本のように各局がニュース、スポーツ番組を始め、メダルを取ればワイドショーもバラエティーも列島中がフィーバーに沸くという現象は起きない」
「アトランタ五輪の1996年、私はドジャース・野茂英雄投手の取材でロサンゼルスにいたが、正直(米国で開催しているのに)五輪の実感が湧かなかった。NBCを見なければ五輪をうっかりスルーしかねなかった。現時点では五輪の報道の扱いは少なく、夏の五輪より2月の大リーグキャンプが(コロナ禍で)予定どおり始まるのかといった話題のほうが聞こえてくる」
(福田和郎)