東京五輪、緊急事態宣言延長で「お先真っ暗」 決められないバッハ、頼みのバイデン米大統領の評判(1)

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

「列に割り込めない」とワクチンを拒否する選手たち

   菅首相は一つ覚えのように「コロナに勝った証」を繰り返しているが、その根拠がワクチン接種だ。しかし、ワクチンの遅れも東京五輪開催に暗雲を漂わせている。政府は当初、五輪が開催される7月ごろまでには「日本中にワクチンが行きわたるから大丈夫」としていたが、とんでもない話だ。ここに来て欧州連合(EU)がEU内で製造されたワクチンの囲い込みを図り、域外への輸出を規制する措置に出たため、日本への供給が大幅に遅れそうだ。

   また、IOCは感染拡大防止のために、東京五輪に出場する全選手のワクチン接種を推奨するとしたが、WHO(世界保健機関)が「待った」をかけた。朝日新聞(2021年1月26日付)「五輪選手へのワクチン優先接種、WHOは『否定的』」によると、WHOの緊急対応責任者マイク・ライアン氏は、こう語ったのだ。

「最前線の医療従事者、高齢者、社会で最も脆弱(ぜいじゃく)な人々が最初にワクチンにアクセスする必要がある。五輪のリスク管理の措置に関する決定はIOCと日本の当局がすることだ」

と、WHOとしては五輪に協力する意思はないことを強調した。

   各国のオリンピック委員会でも自国の選手に優先的にワクチン接種を行うことに反対するところも出ている。スポーツニッポン(2月1日付)「イタリア五輪委員会会長、代表選手へのワクチン優先接種『求めるつもりない』」は、こう報じる。

「イタリア五輪委員会のジオバンニ・マラゴ会長が東京五輪に出場する同国代表選手に関し、新型コロナのワクチンを優先接種させる考えがないことを示した。『高齢者には20歳のアスリートより先に接種を受ける大切な権利がある』と指摘。同国へのワクチン割り当てが予定よりも少ない見通しとなっているが、『(優先接種を)求めるつもりはない』と強調した」

   五輪出場を理由に、命の危険が迫っている高齢者を押しのける形で、元気なアスリートがワクチン接種することは、国民の納得が得られないというわけだ。

   米国オリンピック委員会も同様の態度を表明した。時事通信(1月23日付)「東京五輪、今夏開催に厳しい観測『ワクチンなし』にも危機感 ―米国」がこう伝える。

「米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)を筆頭とするスポーツ団体は『五輪参加のために選手が(接種を待つ)列の割り込みはしない』と強調。USOPCで医務部門の責任者を務めるジョナサン・フィノフ氏は、『開幕までに接種が受けられるのは、世界的に見ても一部だろう。東京五輪はワクチンなしの大会と考えないといけない』と主張。予定どおりに7月開幕が実現しても、選手らが接種を完了しているとは思えないとの見解を示した」

(福田和郎)

姉妹サイト