新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた2020年。テレワークなど在宅勤務が進んだことで需要が拡大して、ノートパソコン(PC)の出荷台数が過去最高となった。エレクトロニクス機器の業界団体、電子情報技術産業協会(JEITA)が2021年1月26日に発表した。
昨年のノートPCの国内出荷台数は、前年比25.1%増の894万5000台で、8年ぶりに更新した。
出荷額は減少
デスクトップを含めたパソコン全体の2020年の出荷台数は、7.4%増の1045万5000台。1000万台を超えたのは6年ぶりだった。
2020年のパソコンの出荷台数をめぐっては、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)ウィンドウズのサポート終了に伴う買い替えが終わって、とくに事務所で使用されるデスクトップの需要減が続いていた。
しかし、コロナ禍で大企業などがテレワークを推進して、場所を選べず使えるノートパソコンの需要は上向きに。また、小中学校で生徒1人に1台学習用端末を用意する「GIGAスクール構想」で、地方自治体からの需要が増えたこともノートPCの需要を後押しした。
ノートPCは2020年、3月、5月、7月を除いた各月で前年と比べて増加。デスクトップは1月だけが前年比で増え、他の月は50%以上の減少が目立った。12月をみると、パソコン全体の出荷台数は前年同月比67.6%増の161万3000台で、このうちノートPCが1490万台(前年同月比116.2%増)を占めた。デスクトップは、12万2000台(同55.2%減)だった。ノートPCの勢いのスゴさがわかる。
2019年のパソコン出荷は種類別でも全体でも各月とも前年を上回っており、当初2020年はその反動減が予想されたが、GIGAスクール構想やコロナ禍で特需が生まれた格好になった。
しかし、売れ筋が比較的安いノートPCだったことから、出荷額は1.8%減の724億円だった。
買い替えたけど...主婦「選び方わからない」
コロナ禍でテレワークのほか、学校に通う生徒の保護者らのあいだでオンラインのやり取りが増えて、家庭でのPC購入意欲が高まっていることが出荷状況から示されたが、主婦を対象に行ったアンケート調査では、買い替えや購入には前向きでも「選び方がわからない」という実情があるようだ。
出版社の主婦の友社が運営する、主婦向け情報を提供するウェブサイト「暮らしニスタ」が、2020年12月~21年1月にかけて、全国の30~40代の主婦100人を対象に実施した調査。主婦の友社が1月27日に結果を発表した。
それによると、回答者の90%以上が家庭でパソコンを所有しており、このうち「2台以上」と「3台以上」の回答は23.5%ずつあった。つまり、半数近い家庭で複数台を持っているのが現状だが、「今後パソコンを新たに買う予定はありますか?」の問いには、35.3%が「ある」と回答。3人1人以上の割合で、新たな購入か買い替えの意向が示された。
購入や買い替えで重視するポイントについて複数選択で回答を求めたところ、スペック(80%)、値段(76.7%)、ノート型であること(66.7%)が上位3項目。主婦の友社によると、使用中のパソコンへの不満な点として「立ち上がりが遅い」「動作が遅い」などのほか、「ぶ厚くて重い」「液晶が粗くて目が疲れる」という意見があった。
しかし、こうした不満はあるものの、新たな購入となると「どう選んでいいかわからない」という声が少なくなく、わかりやすい情報が求められていると指摘している。