有名作家が「デジタル」に切り替えたことも要因
一方、電子書籍市場も好調だった。出版市場全体における電子書籍のシェアは24.3%となり、出版科学研究所が統計を取り始めてから、初めて2割を超えた。
同研究所は、
「紙の出版物が前年から1.0%減と小幅なマイナスにとどまり、電子出版市場が28.0%増と大きく伸長したことで、出版市場全体では2年連続で増えました。電子出版のシェア(24.3%)は前年の19.9%から4.4ポイント上昇して、3割近くの規模にまで拡大しています」
という。
電子書籍が好調な要因について、出版科学研究所の担当者は、有名作家が書籍から電子出版にシフトしたところも大きいとみている。
「2020年には、推理小説やミステリーなどの大御所である東野圭吾氏が電子書籍を解禁しました。このほか村上春樹氏、宮部みゆき氏、百田尚樹氏、湊かなえ氏といった日本を代表する作家も、過去の解禁作品に加え、続々と電子書籍化を進めているところが、現在のニーズにマッチしているのでは」
と話している。
「紙の本離れ」はあるものの、世間でいわれているような「活字離れ」ではなく、電子書籍になっても、おもしろい作品は読み続けられていくということのようだ。