来春(2022年)に卒業予定の学生の4割以上が、就職活動で企業を選ぶ際に「将来性」を重視していることが、企業向けの教育研修事業と若年層向けの就職支援事業を展開する株式会社ジェイック(東京都千代田区)の調べでわかった。2021年1月22日に発表した。
同社は、「新型コロナウイルスによる就職活動への影響に関する状況調査」を、22年卒業の学生(回答者数117人。1月6日~14日)と、今春(21年)卒業の学生(回答者数210人。うち、就職活動継続中105人。1月4日~6日)を対象に実施。コロナ禍に振り回された最初の世代と、その様子をずうっと見てきた22年卒の学生との考え方の違いを比べた。
21卒、22卒の学生とも3割が志望業界や業種を変更
調査によると、新型コロナウイルスの影響で「志望業界や業種を変えたか」との問いに、21年卒業の学生の31.4%、22年卒業の学生の28.2%と、ともに約3割が「変えた」と答えた。卒業予定年度にかかわらず、就職活動中の学生は、コロナ禍の感染拡大が企業や社会に与えた影響を目の当たりにし、志望する業界や業種を見直したと考えられる。
次に、コロナ禍で「企業選びで重視するようになったことがあるか」を聞いたところ、「企業の将来性があるか」と答えた学生は22年卒が43.3%、21年卒が27.7%と、いずれも最多=下グラフ参照。22年卒の学生の割合は、21年卒の学生よりも15.6ポイントも高く、コロナ禍が再拡大しているなか、22年卒の学生が企業の将来性について、慎重に検討しながら就職活動を進めている姿が見てとれる。
一方、22年卒業の学生と21年卒とを比べて、22年卒のほうが低かった回答としては、「勤務地」が9.6%で、21年卒(25.5%)よりも15.9ポイントもの差があった。これは22年卒の学生向けのインターンシップや会社説明会などをオンラインで実施する企業が増えたことで、通勤距離などを意識する学生が減っている可能性が考えられる。
また、コロナ禍でのオンラインへの取り組みにも意識が向いており、テレワークの実施を重視するか、との問いに22年卒(12.5%)が、21年卒(9.0%)を上回る結果となった。
こうした結果に、ジェイックの近藤浩充常務取締役は、
「21年卒の学生は、なるべく早く動き、多くの情報を集め、コロナ禍が企業に与える影響を慎重に見極める傾向が、21年卒の学生以上に強く、採用枠の減少や内定取り消しについても非常にナイーブになっている」
とみている。
企業に対しては、
「企業の将来性については、長期的な視点だけでなく、短期的な見通しも学生に示すと良い。たとえば自社のリモートワークへの、現在の取り組みや今後の働き方の方針、この環境下で事業をどのように変化、進化させていっているのか。学生に対して自社の現状と展望について積極的に情報提供することが、学生の不安を取り除くことに繋がる」
と、助言する。