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究極の後出しジャンケン!? 楽天の携帯料金「0円」サプライズにエールと不安が交錯(2)

   これが極めつけの「最後の後出しジャンケン!」というべきか――。

   携帯電話料金値下げ戦争で、大手3社、格安スマホが次々と新料金プランを発表するなか、「第4のキャリア」を目指す楽天モバイルが2021年1月29日、「0円」もあるという究極の新料金プランを発表した。

   毎月のデータの使用量に応じて、段階的に価格を下げていくという内容。

   ネットでは、

「やっと魅力的な価格が出てきた」

と称賛の声が多いが、

「楽天は最大の弱点を解決するのが先だよ」

という指摘も多い。それはいったい何か?

  • 楽天モバイルが「0円」サプライズ!(写真はイメージ)
    楽天モバイルが「0円」サプライズ!(写真はイメージ)
  • 楽天モバイルが「0円」サプライズ!(写真はイメージ)

「0円」の恩恵を受ける人はなんと3割も!

   今回の楽天の新プランで「無料」の恩恵を受ける層はどのくらいいるのだろうか。月間のデータ使用量が「1GB未満」がタダ(0円)となり、また1GB以上~3GB未満が月間980円となるが――。

   ICT(情報通信技術)市場専門のリサーチ・コンサルティング企業「MM総研」が2020年5月に発表した「携帯電話の月額利用料金と音声通話・データ通信サービスの利用実態調査」(昨年2月時点)によると、「0円」となる人は意外に多く、約3割に達する=グラフ参照

「0円」になる月間1GBしか使わない人がこんなに多い(MM総研の調査データより)
「0円」になる月間1GBしか使わない人がこんなに多い(MM総研の調査データより)

   調査結果はこうだ。

「NTTドコモ・au・ソフトバンク、そしてサブブランドのY!mobile・UQ mobile、MVNO(格安スマホ)の、それぞれの利用者に対するアンケート調査に基づき分析した。平均データ通信量は6.94GB、中央値は3.00GBとなった。月間通信量は『1GB』が29%、『2GB』が16.7%、『3GB』が13.4%。59.2%のユーザーが3GB以下の通信量で、7GBまでの累計では約79.2%を占めた」

   つまり、「0円」の人が29%、「980円」の人が30%というわけだ。ちなみに、「1980円」(3GB以上~20GB未満)は32%、「2980円」(20GB以上)は9%ということになる。これで、楽天モバイルは採算が合うのだろうか?

   その仕組みについて、インターネットメディア「ITmedia Mobile」(2020年11月12日付)「楽天モバイルの申込数が160万を突破 三木谷氏は『携帯料金値下げ』の動きを歓迎」が、こう伝える。

「楽天モバイルが現在提供している『Rakuten UN-LIMIT V』では300万人は1年間無料とし、2020年内に300万人契約の獲得を目標にしていたが、年内の300万突破は難しそうだ。160万人はあくまで申込数だ。1年間の無料期間が終了した後、いかに継続して使ってもらえるかも重要だが、三木谷氏は、楽天モバイルの支払いに楽天ポイントを使えることを挙げ、『SPU(スーパーポイントアップ)を使っている人なら、ポイントで(月額料金を)支払えるのでは』と話す。また楽天モバイルのユーザーを、楽天のエコシステムに取り込むことで、ロイヤリティーの向上を狙う。楽天モバイルの申込者のうち、15%の楽天の新規ユーザーであり、うち35%は楽天市場、楽天カード、楽天銀行などのサービスを利用しているという」

   つまり、言葉は悪いが「0円」というエサで釣って、楽天市場、楽天カードなどのビジネスに引き込むことで利益を得ようという考えのようだ。

料金が「タダ」でも楽天市場で稼ぐ仕組みか?

携帯電話料金はホントに安くなるか?
携帯電話料金はホントに安くなるか?

   今回の楽天モバイルの「0円サプライズ」について、ネットではこんな意見があふれている。

   ケータイ・スマホジャーナリストの石川温(つつむ)氏は、こう指摘した。

「NTTドコモ『ahamo』、KDDI『povo』、ソフトバンク『SoftBank on LINE』の月額2980円プランは『楽天モバイル潰し』と言われていたなか、対抗策が注目されていた。楽天モバイルは段階制プランを出してきたわけだが、注目は1GB未満なら無料という点。楽天モバイルには200万人のユーザーがいるとされているが、それらの人は1年間無料で利用できていた。1年間の無料期間が終了すると多くの人が3キャリアのオンライン専用プランに移行する恐れがあったので、彼らを引き止めるには『1GB未満無料』は有効だ。あとは、そうしたユーザーにアクティブに通信を使ってもらいつつ、楽天市場で買い物をしてもらい楽天カードで決済してくれれば楽天としてはアリなのだろう」

   ITジャーナリストの篠原修司氏も、楽天市場ビジネスとの関係をこう指摘する。

「楽天モバイルはサービス開始当初に始めた1年間無料キャンペーンがもうすぐ終了する人が出てきます(今年4月7日で終了)。ahamoやpovoなどが発表された結果、これに乗り換えるために無料期間終了後、かなりのユーザーが離れるのではないかとみられていました。1GBまで無料ということであれば、『とりあえず回線は維持する』という人がそれなりに出てきそうです。楽天モバイルを契約していると楽天市場でのポイント還元率も高くなるため、それを目的に無料狙いで新規契約する人もいるでしょう。また、格安SIMからの乗り換えも多そうです。各社の1GBプランが1000円近くするのに対し、楽天は無料。1GBプランが高いという隙を突いたうまいプランです」

   楽天モバイルにこうした狙いがあるにせよ、「魅力的な価格だ」と評価する人が多かった。

「ついに3GB以下の低容量帯に楔(くさび)が打ち込まれたな。楽天はまだまだネットワークエリアの整備がお粗末過ぎるが、そこさえ改善できたのならとんでもないダークホース。1GBが未満無料で1~3GBが980円で20GB未満なら1980円とは恐れ入る。(格安スマホの)日本通信に並ぶような価格が出てくるとは思わなかった。これで3大キャリアもさらなる後出しで追随してくれるのであれば万々歳だが。いずれにせよ、楽天には基地局の整備を全力で頑張ってもらいたい」
「元から、Lineと電話くらいしか使わないうえに、コロナ禍で外出する機会も減少し、ほぼWiFi使用なので、1GB未満無料は魅力的! 以前から、2GB程で十分だったから、楽天プランには心惹かれるが、後はカバーエリア次第だね」
「最近はテレワークで外出しないから月3GB以内で収まる事もありそう。価格的には凄く魅力的です」
「料金プラン的には最強。消費者が最も望んでいたシンプルなプラン。ドコモ、au、ソフトバンクは、わかっていながらニーズを無視し続け、逆に複雑怪奇にしてお年寄りをサギって稼いでいたわけだし。通信品質さえよければ、さらなる価格競争に進める。ホント、やっとこのプランが出たか...って感じ」
「ツールとしてしかケイタイを使わない(動画閲覧や外でゲーム等しない)人にとってはこれ以上ないほど魅力的なプラン。非常にわかりやすいシステムだし、手放しで拍手したい。ネイティブ5G時代になって回線の使い方や生活スタイルが抜本的に変わるまでは1~3GBで十分だ。仮に時代が変わっても無制限2980円なわけだし、文句の付けどころがない」

「とにかく繋がるようにしてください!」

   多くの人が指摘するのは、楽天の基地局が圧倒的に少なく、カバーエリアが狭いことだ。

「楽天モバイル、なぜか繋がらないことがあって困っている。家にいて電波は問題ないはずなのに繋がらない。電話かかってきているのに着信音ならずに、留守電に送られたりする。そしてその留守電があるという通知も、何時間も経ってからでないと届かないこともある。普段そんなに急ぎの用はないからまだ大丈夫だが、これをどうにかしてくれないと安くても使えない」
「昨年、ポストに入っていたチラシによれば、自宅から10~20メートルのところにもう基地局出来ているはずなのに、なぜかパートナー回線しか掴まない。職場もエリア内なのにダメ。駅も混雑が影響しているのか、回線切り替えのせいか、再起動しないとダメなときもある。今回のプランは魅力的だが、無料期間内に改善されなければdocomoに移るかも」

   最後にこんなエールの声を紹介したい。

「とりあえず1年間無料を思って楽天を契約していますが、現状は回線が全くダメです。今後の改善に期待しています。楽天市場のポイントを考えた時、改善次第では一択になると思われます。社名も楽天グループに変更になるし、マー君も戻って来たし、頑張ってもらいたいです」

(福田和郎)