バッハ会長が心変わり?! 日本、EU入国拒否なのに「東京五輪は予定どおり」発言のホンネ(井津川倫子)

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   2度目の緊急事態宣言の発出から半月以上経過しても、いまだ衰える気配のない新型コロナウイルスの感染力。それでも、感染者の累計が200万人を超えているドイツやイタリア、フランスといった欧米諸国に比べて、「日本は感染を抑制できている」と思いきや......。

   欧州連合(EU)が入域を許可する「ホワイトリスト」から日本が除外されるという衝撃ニュースが飛び込んできました!

   東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて強烈なパンチとなりそうですが、トーマス・バッハIOC(国際オリンピック委員会)会長は「予定どおり開催」と強気な発言を繰り返すのみ。ところが、そのホンネを探ってみると......。

  • 東京五輪は「予定どおり開催」と強気なバッハ会長だが……
    東京五輪は「予定どおり開催」と強気なバッハ会長だが……
  • 東京五輪は「予定どおり開催」と強気なバッハ会長だが……

強烈! 日本「ホワイトリスト」から除外のスクープ

   日本が欧州連合(EU)の「ホワイトリスト」から除外される――。「文春砲」にも負けない強烈なスクープを放ったのは、米通信社のブルームバーグです。「部外秘」だとして「匿名の関係者」が明かしたと、ものものしく報じました。

European Union plans to shut door to travelers from Japan amid COVID-19 surge
(欧州連合は、コロナの感染が拡大する日本から入国を拒否する方向だ:ブルームバーグ)

   記事によると、EU加盟国への入国を許可する共通のリスト「white list」(ホワイトリスト)から、日本を除外する計画があるとのこと。さらに、除外の理由をハッキリと「コロナウイルス感染拡大のため」と述べています。

The removal of Japan as a result of increased virus cases in the country
(日本の排除は、国内のウイルス感染者数の増加によるものだ)
as a result of:~のために、~が理由で

   ちなみに、この「ホワイトリスト」。昨年(2020年)7月に設定された時は15か国あったそうですが、感染が拡大する国を次々に除外。新たに日本が除外されると、残るのはオーストラリアと中国、ニュージーランド、ルワンダ、シンガポール、韓国、タイの7か国になるそうです。

   「ホワイトリスト」の反対は「ブラックリスト」。韓国やタイと比べても「日本は危険」の烙印を押されてしまったのでしょうか。

「バッハ会長の発言トーンが変わってきた!」

   さてさて、ここで考えるのが東京五輪への影響です。「ホワイトリスト」から除外されたということは、日本の新型コロナウイルスの感染状況に懸念が広がっていることの証左でしょう。開催まで残り100日を切るなか、国際オリンピック委員会(IOC)の対応に注目が集まっていますが、渦中のバッハ会長は会見で「強気発言」を繰り返したと各国メディアが大々的に報じています。

'Not losing our time': IOC insists Olympic Games will go ahead in Tokyo
(「ムダな時間はない」とIOCは東京五輪の開催を強調した:オーストラリアのメディア)

   オンライン会見に応じたバッハ会長は、「中止や延期といった選択肢を考えるムダな時間はない」と言い切り、「Our task is to organize Olympic Games, not to cancel Olympic Games」(我々の仕事はオリンピックを開催することでキャンセルすることではない)と強調したそうです。

   日本のメディアを筆頭に、各国メディアは「予定どおり開催する」とするバッハ会長の強気発言をフォーカスしていますが、私が注目したのは米紙USAトゥデイに掲載された専門家の「分析」でした。

   記事によると、バッハ会長は会見の中で、「ロックダウンでレストランに行ったり家族や友達に会えなかったりといった生活を送っている人々にとって、オリンピック開催など想像できない」ということは「個人的には理解できる」と、初めて「人間的なコメント」をした、としています。

   確かに、バッハ会長の他の発言を見ても、「オリンピック開催に向けて理解と忍耐を」と呼びかけたり、「中止や延期について言及するのは選手たちを傷つける」と訴えたりするなど、かなり感情的になってきている印象です。

   「巨額のテレビ放映料のために中止はできない(米テレビ局)」というIOCのお家事情を抱えつつ、ホンネでは五輪開催に「懐疑的」なのではないか......。この先、バッハ会長発言のトーンがどう変わっていくのか、要注目です!

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「white list」の使い方をチェックしてみましょう。

EU plan to remove Japan from 'white list'
(EUは日本をホワイトリストから除外する方向だ)

EU plan to remove Japan from 'white list' as soon as possible
(EUは出来るだけ早く、日本をホワイトリストから除外する方向だ)

EU plan to remove Japan from 'white list' as a result of increased virus cases
(新型コロナウイルスの感染拡大で、EUは日本をホワイトリストから除外する方向だ)

   日本の世論調査で「五輪懐疑派」が増えていることが、IOCなど関係者に大きなインパクトを与えていると、複数の海外メディアが報じています。バッハ会長らが強気発言をすればするほど世論が冷めていく......そんな空気をメディアも感じ始めているようです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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