「総務」は企業の最後の「門番」だ! テレワーク実施企業でも2割は毎日出社している

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   コロナ禍で、企業の総務担当者は毎日を大変な思いで働いているようだ。「月刊総務」が全国の総務担当者を対象に、「緊急事態宣言下のテレワークと総務の対応に関する調査」(期間2021年1月13日~18日)を実施したところ、会社内にテレワーク制度があっても総務はテレワークがしにくい状況にあるという実情が浮かび上がった。

   オフィス内の消毒や抗菌、滅菌に気を遣ったり、衛生用品を準備したりと、コロナ禍で総務の負担は増えている。

  • 総務はテレワークがしにくい、そのワケは……
    総務はテレワークがしにくい、そのワケは……
  • 総務はテレワークがしにくい、そのワケは……

総務はテレワークの恩恵を受けていない

   東京都や大阪府、愛知県、福岡県など、11の都府県に発出された2回目の緊急事態宣言。その中にあって、9割以上の企業がテレワークを実施する一方、対象地域外では実施企業が約1割にとどまることがわかった。

   対象地域では、「全社的にテレワーク実施(出社日の定めなし)」が30.1%、「全社的に実施(週の出社回数を制限)」が28.0%、「一部の部署で実施」31.9%、「実施していない」9.9%と、9割以上がテレワークを実施していた。

   一方、対象外地域では、「全社的に実施(出社日の定めなし)」が7.9%、「全社的に実施(週の出社回数を制限)」2.6%、「一部の部署で実施」が57.9%、「実施していない」31.6%と、テレワークの取り組みが遅れていた。

   また、2020年4~5月の緊急事態宣言でテレワークを実施した企業のうち、約2割は緊急事態宣言終了後に出社に戻していた。

   さらに調査ではテレワーク実施企業に対して、総務もテレワークができているかどうか聞いた。それによると、「交代制で毎日最低でも1人は出社している」と答えた企業が40.2%で最も多く、「交代制で毎日ではないが週に数回は出社している」が34.1%、「毎日出社している」20.0%、「完全にテレワークしている」3.4%、と2割が毎日出社していた=円グラフ参照

   総務が出社する理由としては、「郵便物の対応」が86.6%で最多。「契約書などの押印」が65.0%、「オフィス環境の整備」53.6%、「代表電話の対応」50.7%、「備品管理」46.1%、「来客対応」35.7%、「入社・退社に関わる対応」30.4%、「施錠管理」21.8%と続いた。

   複数回答だが、いずれも企業の日常業務として欠かせないものばかり。テレワークの実施企業でも、総務はあまりその恩恵を受けておらず、総務のテレワークが難しい職場事情が浮き彫りになった。

総務はコロナ対応の最前線に立っている

   こうした日常業務のほかにも、総務はいま、コロナ対策にも駆り出されている。コロナ禍の仕事では、「衛生用品の準備」が94.2%で最も多く、「オフィス内の消毒・抗菌滅菌」が72.5%、「アクリル板の設置やオフィスのレイアウト変更」は71.1%、「コロナ関連の情報発信」64.4%と続き、「定期的なPCR検査」を実施している会社もあることがわかった。

   まさに、総務が企業のコロナ対応の最前線に立っているのだ。

   そうしたなか、テレワークで役立ったITツールについて聞いたところ、「ビデオ会議」が84.0%で最多。「ビジネスチャット」45.9%、「電子決済(稟議申請・経費精算など)」が42.0%と続いた。

   調査した「月刊総務」では、

「7割近くがコロナ禍収束後もテレワーク制度を継続すると回答しているように、一時的な対応としてではなくニューノーマルにおける働き方の軸と捉え、今一度働く環境を整えることが求められている」

としている。

◆ 改めて評価される総務の仕事

   コロナ禍で、経理業務や法務業務を外部に委託する企業が増えている、と1月17日付の朝日新聞が報じていた。経理では、請求書の受取先を顧客企業から委託先に切り替えてもらい、委託先のベンチャー企業が届いた請求書をデータ化し、顧客企業の経理担当者は、そのデータを自社のシステムに取り込むという。

   従来、リモートワークが難しいとされてきた業務にも、テレワークの波は押し寄せているようだ。それでも総務は最後まで「出社」を余儀なくされるのか――。総務は企業の最後の「門番」として、その役割が改めて評価されそうだ。

姉妹サイト