携帯料金値下げに逆行か?「格安スマホを窮地に追いやってどうする!」武田総務相に怒りの声(1)

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   携帯電話大手3社、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの低料金新プランが出そろったことで、「安さで勝負!」をしてきた格安スマホがピンチに陥っている。 そんななか、格安スマホの「mineo」(マイネオ)が料金を最大で6割も引き下げるという思い切った新プランを発表した。

   しかし、ネット上ではイマイチ盛り上がらない。ここまで格安スマホ会社を追い詰めた武田良太総務相に対する批判が巻き起こっているのだ。

「あなたが携帯大手に圧力をかけたから、値下げをリードするはずだった格安スマホが淘汰されそうになっている。結果的に大手の寡占が起こるのではないか」

という怒りの声だ。

  • 「マイピタ」を発表するオプテージの荒木誠社長(同社公式サイトより)
    「マイピタ」を発表するオプテージの荒木誠社長(同社公式サイトより)
  • 「マイピタ」を発表するオプテージの荒木誠社長(同社公式サイトより)

最大6割、3050円もの値下げは業界最安値の水準だが...

   格安スマートフォン事業者(MVNO)のオプテージは2021年1月27日、提供している格安ブランドの「mineo」(マイネオ)の新料金プランを発表した。 同社の公式サイトなどによると、新サービスの名前は「マイピタ」で、2月1日から開始する。主なサービス内容はこうだ(金額は税別)=下表参照

安くシンプルになった新料金プラン「マイピタ」(オプテージの公式サイトより)
安くシンプルになった新料金プラン「マイピタ」(オプテージの公式サイトより)
(1)6種類あったデータ容量を4種類に整理。NTTドコモ・au・ソフトバンクの使用回線ごとに別個だった料金を統合するなど、シンプルにわかりやすくする。
(2)20GB(ギガバイト)プランで言えば、現行の料金プランから最大6割・3050円値下げする(デュアルタイプ・Sプランで月額5030円を1980円にする)。20GBではドコモ・au・ソフトバンクの料金プランが月額2980円なので、それよりも1000円安く、小中容量帯では業界最安水準になる。
(3)10GBプランでも、最大で月額1790円の値下げとなる。

   オプテージでは、総務省調査によれば20GB以上契約しているユーザーは全体の40%であるにも関わらず、実際に20GB以上使っているのは10%に過ぎないこと、そして「mineo」契約者の約99%は10GB以下での契約となっていることを強調。同社の荒木誠社長は記者会見で、

「(小中容量帯を中心に据えて勝負をかけた)まだまだ格安プランを提供できる」

と述べて、大手に十分対抗できるとの姿勢を示したのだった。

   総務省の強硬な携帯電話料金の値下げ圧力を受けて、昨年(2020年)12月から今年1月にかけて、NTTドコモ・au・ソフトバンクの大手3社が相次いで低料金プランを発表したため、格安スマホ会社(MVNO)がピンチに陥っている。

   各社の苦境について、時事通信(1月28日付)「格安スマホも相次ぎ値下げ大手に対抗、再編観測浮上」が、こう報じている。

「NTTドコモなど携帯大手3社の割安な料金プランに対抗するため、格安スマートフォン各社が相次いで値下げに動いている。低価格を売りにしてきた格安スマホ会社にとって大手との差別化は難しくなっており、経営体力の乏しい会社の撤退や再編が進む可能性がある」

   オプテージの「mineo」の新料金プランのほか、日本通信はドコモが「ahamo」(アハモ)を発表した翌日の昨年12月3日、それを1000円下回る新プランを打ち出した。USEN-NEXTホールディングスとヤマダホールディングスが共同出資する「y.u-mobile」(ワイユーモバイル)は3月、有料動画配信サービスを含む20GBのプランを税別5990円から3980円に引き下げる。動画配信サービス「U-NEXT」の月額利用料1990円が含まれており、動画をよく視聴する利用者にアピール。値下げが相次いでいる。

   時事通信が続ける。

「携帯電話市場では大手3社が9割近いシェアを占める寡占状態が続き、格安スマホの契約者数は伸び悩んでいる。3万件以上の契約を持つ格安スマホ事業者は50社超あり、小さな市場にひしめき合っている。大手から借り受ける回線利用料も重荷で、値下げ競争による収益圧迫は避けられない。業界関係者は『再編が一段と進む』との見方を強めている」

「3年待たされたら潰れる」と総務省に泣きついたMVNO団体

   窮地に追い込まれた格安スマホ会社(MVNO)の団体が、総務省に泣きついた動きを、携帯電話専門のニュースサイト「ケイタイWathc」(1月20日付)が「MVNOが『携帯大手の廉価プラン対抗は困難』接続料や音声卸料金の引き下げを総務省に要望」で、こう伝える。

「電気通信事業者の業界団体であるテレコムサービス協会(テレサ協)MVNO委員会は、1月19日に開催された総務省の有識者会議『接続料の算定等に関する研究会』で、格安スマホ向けの接続料や音声卸料金の引き下げを要望した。テレサ協は総務省への要望書で、携帯電話大手による『廉価プラン』の発表をうけ、現行の接続料や卸料金では、これに対抗するサービスをMVNOが実現することが極めて困難であり、大手各社と格安スマホ会社が同じ条件で公正に競争するためのイコールフッティング(対等な立場での競争)を確保するための緊急措置を実施するよう要望した」

   「接続料や卸料金」とはどういうことか――。カンタンに説明すると、格安スマホ会社は大手各社の通信回線を借りて、サービスを提供している。その際、使用料として「接続料」を支払っている。また、その中には音声通話のレンタル料にあたる「音声卸料金」(「30秒20円」「30秒14円」など)も含まれている。

   総務省は昨年10月、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を発表し、こうした「接続料」を3年間で5割減にするという目標を掲げた。ところが、格安スマホ会社の団体は、

「3年間も待っていては、みんな潰れてしまう。大手の廉価プランに対抗できるよう、『3年間で5割減』の目標を前倒しして、接続料のさらなる引き下げを目指す取り組みを速やかに進めてほしい」

と、要望したのだった。

(福田和郎)

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