今年(2021年)7月23日開幕予定の東京五輪まで半年を切った。
新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で、開催に反対する世論は8割を超えている。開催が危ぶまれるなか、ただ、「コロナに打ち勝つ証にする」と一つ覚えのように繰り返すだけのIOC(国際オリンピック委員会)や菅義偉首相に、新聞社説が堪忍袋の緒を切った。
開催に批判的な論調の新聞、賛成する新聞、双方の社説を読み解くと――。
産経は「五輪は世界への公約だ」と断固開催を主張
一方、こうした開催に懐疑的な論調とは真逆に、「断固、開催すべし」と強く訴えているのが、産経新聞の主張(社説)(1月23日付)「五輪まで半年 臆測に惑わされず準備を」である。
「東京五輪は国民が前を向くための希望であり、厄介者にしたくはない。開幕までの残り半年、日本の責務は粛々と開催準備を進めることだ。今夏の開催可否をめぐり悲観論や臆測も飛び交っているが、組織委と東京都は惑わされてはならない。IOCのバッハ会長は『7月に開幕しないと信じる理由は、現段階で何もない。だからプランB(代替案)もない」と述べ、中止や再延期を否定した。この姿勢を支持したい」
と書き、多くの新聞が批判したIOCの開催一辺倒の姿勢を全面的に擁護する。そして、今夏の五輪開催は「世界への公約だから守らなければならない」と訴えるのだった。
「国際体操連盟会長でIOC委員の渡辺守成氏は産経新聞の取材に対し、『この逆境で五輪を成功させたら日本の存在感は上がる』と述べ、中止により日本が失うもののほうが多いとの見解も示した。同感である。東京が掲げる『安全・安心』な大会の実現は、今後の五輪にとって新たなモデルとなる。昨年3月に東京大会の1年延期を提案したのは安倍晋三前首相だ。IOCをうなずかせたのは、日本なら『安全・安心』を確保できるという信用があったからだ。今夏の開催は世界への『公約』であり、いまは菅義偉政権が責任を負っている。五輪開催への具体的な道筋を示し、日本の安全性を世界に発信してもらいたい。国民は一日も早く、前を向きたいのだ」
と結ぶのだった。