開催する、しない!?東京五輪 新聞社説が堪忍袋の緒を切った「中止派」「開催派」の意外な顔ぶれと論調は...

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毎日社説「森会長や菅首相の精神論は説得力がない」

   毎日新聞の社説(1月25日付)「東京五輪まで半年 現実見据えた議論足りぬ」は、森喜朗組織委会長や菅義偉首相の「精神論」では国民にまったく説得力はない、としてこう指摘した。

「IOCのバッハ会長は『(大会は)トンネルの終わりの光となる』と強気の姿勢で、組織委の森喜朗会長も『長い夜も必ず朝は来る』と語る。菅義偉首相は『人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し』と開催の決意を繰り返し、国会では『ワクチンを前提としなくても開催できるよう準備を進めている』と答弁した。だが、大会のコロナ対策に責任を持つ政府の説明としては具体性と説得力を欠く。何より今は現実を見据えた議論を急いで進める必要がある」

   そして、仮に開催するというなら、早くコロナ対策を示せと主張した。

「最優先で検討すべき課題は明らかだ。変異ウイルスの侵入も予想される。昨年以降、欧米のプロスポーツの多くが無観客で実施されている。五輪も、無観客開催や観客を日本在住者に限定した方法が望ましいとの意見が出ている。 感染防止策では、隔離した環境に選手らを滞在させ、競技会場と宿舎を往復するだけの『バブル』方式を採用するアイデアもある。開催への危機感、関係者の具体的な動きが見えない現状を早く改めなければならない」
「コロナに勝った証」一辺倒の菅義偉首相
「コロナに勝った証」一辺倒の菅義偉首相

   東京新聞の社説(1月25日付)「見えない現状を早く改めなければならない」は、開催の可否の現実を具体的な数字を挙げて、早く決断せよ、と迫った。

「これまで政府や都、組織委が『満員の競技場で全競技を行い、多くの観光客を入国させる』という最善プランに固執したことが、不安を招いた一因だ。 遅まきながら縮小案や中止案について検討し、準備状況や影響予測を公表する。そのうえでどの案を選ぶか丁寧に説明するべきだ」

として、影響のプラスマイナスを数字で示した。

「開催する場合は1万人超の選手、約8万人のボランティア、世界中から多くの観衆らが計30日間、複雑に行動する。ボランティアと医療スタッフを確保できるか判然としない。(無観客開催なら)チケット収入が減り大会収支は悪化する。観光客が来日しなければ、経済効果も乏しい。どんな形であれ開催するための大前提は、感染拡大を抑え緊急事態を早期に解消することだ」
「一方、中止する場合は約3000億円の追加支出は抑えられるが、支出済みと考えられる約1兆3000億円の開催経費、新設施設が意義を失う。チケット収入はゼロで、特需を当て込む観光や警備業界なども打撃を受ける。聖火リレー開始は3月25日。それに間に合うよう方針を国内外に説明し、理解を得ようとするなら残り時間は少ない」

   朝日新聞社説(1月27日)「五輪の行方 現実踏まえた対応急げ」は真摯に人々の疑念と向き合えと訴えた。

「朝日新聞が1月23、24日に実施した世論調査では(開催に反対)と答えた人が86%にのぼった。世界で新型コロナの感染が収まる気配がないなか、当然の受け止めと見るべきだ。しかしIOCや日本の組織委、政府、都から聞こえてくるのは、『プランB(代替案)はない』『コロナに打ち勝った証しとして開催する』といった根拠不明の強気の発言ばかりだ」
「人びとの疑問や懸念に向き合い、とりうる道をともに探ろうという姿勢はうかがえず、溝が深まる悪循環に陥っている。前例のない事態に直面し、それでも五輪への求心力を維持しようとするなら、適切な情報開示と議論の透明化、衆知の結集が不可欠だ。ところが開催者側はその努力を怠り、逆に不信を深めた。開幕まで半年を切ったいま、納得できる工程表を速やかに示すことを改めて訴える」

   主要各紙がやや歯切れの悪い論調を展開しているのに比べ、はっきりと「中止」という言葉を見出しに入れて、キッパリ主張しているのが広島市に本社を置く中国新聞である。

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