コロナ禍だというのに、株式市場は連日にぎわっている。2020年末からの高騰で、どのタイミングで買おうか、いやいや下がるのか――。
「相場は明日もある」という格言がある。日本証券業協会の相場格言集によると、「好材料が出現するとわれ先に飛びつき買いを入れる。今、買わなければ、永久に買い損なうといわんばかりである。しかし、相場は皮肉にもそれが目先の天井で翌日には安くなることがある。材料が出たら、できるだけよく調べてから買っても遅くない。みんなが一斉に買っているときの相場は不自然なものである。その後に現れる相場こそ、本来の姿だ」と説く。
つまり、焦りを戒め、機会をじっくり待つことを教えた格言なのだ。
DX銘柄として有望!?
ちょっと前だが、2020年10月13日付の日本経済新聞に「コロナ後見据え」と題した特集が組まれていた。それによると、「国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む企業が増えるなか、投資家もESG(環境・社会・企業統治)の視点で企業を選別する動きが強まっている」と、書かれていた。
その特集で、西村康稔経済再生担当相が「コロナの経験を生かし変革を」と題して、「今回の感染症の対応の中でさまざまな課題が明らかになった。この経験を後戻りさせることなく、変革・改革を一気に推し進めたい」と、5つのポイントをあげている。
(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速。
(2)サプライチェーンの強靭化・多元化。
(3)新たな社会構築への支援。
(4)コーポレートガバナンス改革の推進。
(5)気候変動対策に向けたESG地域金融の普及展開や、国際金融都市実現にも積極的に取り組んでいく。
なかでも、「DXの加速」については、「デジタル7割、リアル3割の世界を目指しテレワークを拡大させる。政府としても電子署名など規制や商慣習の見直しを図り、IT(情報技術)補助金などで支援する」としている。
年が明けて、コロナ禍による2回目の緊急事態宣言が東京都や大阪府、愛知県、福岡県など11都府県に発令された。政府や東京都は再びテレワークを推奨するなどで人の移動を抑えようとしている。
そうしたなか、2021年1月9日付の日本経済新聞の「スクランブル」では、「DX銘柄急進 映る強気」の見出しで、野村総合研究所について、こう記している。
「(新興企業を除く)主要企業では、売上高全体に占めるDXに関わる案件の比率が約6割という野村総合研究所(1月7日比3%高)も高値をつけた」
DX銘柄として、野村総研が注目されているというのだ。
強みは「企画から開発まで」の一貫提案
1月12日付の日本経済新聞「コロナ禍がDXを加速」では、慶応義塾大学の村井純教授が日本の現状について、「新型コロナウイルス感染拡大はデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きを大きく加速させた。テレワークの拡大に加えてオンラインでの授業や診療など、あらゆる場面で課題への対処が進んだ。一方、行政のデジタル化の遅れが浮き彫りになり、医療や教育の窓口サービスでも利活用は進んでない」と指摘している。
DXの記事を読んでいると、どうやらDXの本質は単なるシステム化ではなく、顧客の業務を変革することにあるようだ。
つまり、顧客の業務を変えずにシステムに置き換える従来型のシステム開発に対し、情報システムの企画(コンサルティング)から開発(SI)、運用までを一貫提案する野村総研のビジネスモデルは、DXに適していると捉えられているようなのだ。
ちなみに、野村総研は昨年8月25日に経済産業省と東京証券取引所が選定した「DX注目企業2020の選定企業21社」にも選ばれている。
野村総研株は、昨年3月13日の安値1847円から上昇し、今年1月14日には昨年来高値の4050円を付けて、なお上昇している。どこまで上昇するのか見通せない状況に見える。 その半面、カネ余りによる、米ニューヨーク、東京株式市場の株高をみると、いつ調整が入ってもおかしくないようにも見える。
ということで、今回は「相場は明日もある」の格言どおり、じっくり購入のタイミングを探ろうと考えている。
2021年1月26日現在 保有株式ゼロ
【野村総合研究所(4307)】
昨年来高値2021年1月14日 4050円
昨年来安値2020年3月13日 1847円
直近 終値2021年1月26日 3740円