「短いほうがいい」とは言えない
本書で、ビジネスリーダーが書くメールとして最も求められるスキルの一つは「ヒューマンスキル」。ヒューマンスキルは、米ハーバード大学教授で経営学者のロバート・カッツ氏が提唱した、相手や周囲と良好な人間関係を構築し円滑なコミュニケーションを実現するスキルだ。
著者によると、現代は時短が強く意識され、メールを仕上げるにも一定の仕事時間を割くことから「短いほうがいい」という意見がある。極端な場合では、「1行でもいい」という声も珍しくない。しかし、メールもコミュニケーションであり、ヒューマンスキルの観点からは「推奨していない」と著者。
「外部のお客様に送る際は、あいさつ文は必ず入れておいたほうがいい。時間をムダにしたくないと考える方もいるかもしれませんが、それ以上に『礼儀がなっていない』と冷たい印象を受ける方のほうが多いでしょう」
このことは部下とのメールのやりとりでも同様だ。
「コロナ禍でテレワーク化が進み、より相手の表情がみえなくなりました。そんな中でメールを使うのですから、文面に表情を出すために、意識的にねぎらいや感謝の表現をいれましょう」
もちろん、ヒューマンスキルを重視するあまり、長々と書けばいいということはない。「メールは長さより『ビジュアル』が大事」というのが、ヒューマンスキルの次に求められることだ。
文字の詰まったような「黒すぎる文章」を避け、スペースを程よく配した「白と黒のコントラストの効いた文章」を心がけよという。