緊急事態宣言が出されてテレワークを導入する会社が増えている。しかし、誰かが出社しなければならない。そんななか、
「テレワークの同僚の雑用が増えて出社がつらい」
という女性の投稿が同情と共感を呼んでいる。
投稿主は、4人しか事務員がいないなか、1人で毎日出社を命じられたシングルマザー。4人分の雑務を担わざるを得なくなったばかりか、ほかの社員の電話対応、来客対応で消耗しきっている。しかも、在宅ワーク中の同僚は、「勤務時間」に美容院やママ友とのランチまで楽しんでいるという。
彼女はどうしたらよいのか――。専門家に聞いた。
社長は「申し訳ないが、コロナ禍なので乗り越えてほしい」
話題になっているのは、女性向けのサイト「発言小町」(2021年1月11日付)に載った「テレワークの同僚の雑用が増えて出社がつらい」というタイトルの投稿だ。
「正社員の事務員です。社員約25名、うち事務員4名の小さな職場です。事務員の仕事には雑務もあり、4人で分担してやってきました。たとえばゴミ出しや洗濯、事務所の掃除、消耗品等の買い物、電話対応、来客対応などです。緊急事態宣言が出されたのを機に、遠方から出社の3名はテレワークとなりました。私が一番職場に近いので、毎日出社は私だけとなりました」
すると、今までみんなでこなしていた雑務をすべて1人でやらないといけないばかりか、テレワークの人の分の雑用(たとえば事務所にいないとわからないことの問い合わせ、事務所にかかった電話を担当者に知らせる、家から事務所のプリンターに送信した印刷物の整理、紙やインクの補充など)も増えてしまった。
半日以上雑務で時間をとられ、持参した弁当を事務所でつつきながら昼休みもろくに取れず、夜も毎日残業続きとなった。残業代は働いた分だけつくからよいが、納得できないのは、テレワークになった同僚事務員3人の「在宅ワーク」ぶりだった。
「LINEグループに入っているので行動がわかりますが、テレワーク事務員は自分の仕事をこなしていれば時間は自由なので、美容院や病院、ママ友とのランチに行ったりして、優雅な時間を過ごしています。仕事を溜めて夜に働いた分はしっかり残業代をつけています。体力的にも精神的にもとてもつらいです。不公平感が拭えません。社長も理解はしてくれていますが、『1人にだけ負担がかかって申し訳ないが、こういう時なので乗り越えてほしい』と言われました」
「自由な気風を大切にする会社」だそうで、社長は社員を縛ることはしたくないらしく、社長から改善案を出してもらえそうにない。シングルマザーの投稿者にとって普段は働きやすく、転職は考えられないという。投稿者は、
「八方塞がりです。こうなったら放棄できる雑務は放置してやろう!と意気込んでみても、実際インク切れも用紙切れも自分が困るし、埃まみれの中で仕事するのは自分だし、なかなか難しいです」 と悩みを訴えるのだった。
「在宅ワーク中に遊べるなんて、ゆるすぎる会社です」
この投稿には、圧倒的に多くの人から「会社がおかしい。上司、もしくは社長にもう一度相談するべきだ」という声が殺到した。
「テレワークで、昼は自由に遊んでもよくて、夜は残業代がつく...という働き方を許容しているのがおかしい。ずいぶん、ゆるい会社ですね。そんな会社にいても、あなたが潰れてしまいます。私の会社は、勤務時間中は絶対に家のデスク前にいなければならない規則で、テレワーク組の残業は原則禁止です。残業の際には詳細な業務申請をしなければなりません。朝晩に1日の業務の予定と進捗を上司にリモート会議で報告せねばならず、堂々と遊ぶことなどはできません。ほかの事務員が遊んでいることが問題。ログインログアウトと実稼働ログで管理しないのですか? そこは社長に現状をキチンと訴えましょう! ほかの3人と輪番制にしてくださいと」
「あなた1人に押し付けないで、みんなで回すしかない。25分の1になれば、各自の負担量はそれほど多くはないはず。あなたがやっている雑務を全部書き出して、重要度や優先度、緊急度等の各項目で点数化して、上司、あるいは社長に提出してはいかが。それで改善されないのなら、重要度の低い雑用は拒否しましょう」
「厳しいことを言うようですが、あなたがやってしまえるから上司も動かないし、ほかの事務員も甘えるのでは? と思います。あなたのような方は責任感が強いし、無理をして頑張ってやってしまう。それを見て、上司は『つらいとか言っているけど、できているジャン』と判断し、動かないのです。自由な社風だか知りませんが、危機管理がなってないだけですよ。雑務を一切しない、自分の仕事だけする。これしかありません。このままだと体調を崩しますよ」
投稿者と同じような立場で悩んでいる人も多かった。
「私も似た業務、状況なので、大変さがよくわかります(泣)。私の場合、最初は通勤1時間以上がテレワークの条件でしたが、その後、雑務分担の提案をすると、『親の介護が』『子供の受験が』『持病が』など、さまざまな自己都合を主張し始めました。一度覚えてしまった蜜の味、なかなか手放しませんよね。私も年齢がネックですが、転職も検討中です」
(福田和郎)