新型コロナウイルスの感染拡大で、若者の人生設計や消費態度に変化が起きている。SMBCコンシューマーファイナンスが、20代の男女1000人を対象に行ったアンケート調査の結果によると、コロナ禍以前と比べて貯蓄額が増加しているという。
コロナ禍がもたらした雇用や収入に対する不安が、貯蓄や結婚への意識に影響しているとみられる。
コロナ禍で副業機会も減る
調査によると、収入・支出や生活時間についてコロナ禍前との変化を聞いた(有効回答者数=633人)ところ、「収入」が「減った」は29.5%で「増えた」(17.3%)を上回った。「家事時間」はコロナ禍前との比較で37.9%が「増えたと答え、減った(6.1%)を上回り、「家族と過ごす時間」では、コロナ禍前より「増えた」(41.6%)が減った(10.0%)を大きく上回った。
「感染予防のため、仕事後は寄り道をせずに真っ直ぐ帰宅するようになったという人が増えた」とみている。
また、パート・アルバイトを除いた回答者(517人)に、副業しているか聞いたところ、「している」は30.6%、「していない」 は69.4%。前回調査(2019年12月)では「している」のが43.1%で、今回は12.5ポイントと大幅下落。SMBCコンシューマーファイナンスでは、「コロナ禍で副業を行う機会を失ったり、控えたりしたという人が非常に多いようだ」とみている。
貯蓄状況の変化をみると、調査時点で「どのくらいの貯蓄があるか」聞いたところ「50万円以下」が40.8%で最多。2番目に多かったのは「0円」で18.2%だった。「50万円超~100万円以下」が14.1%、「100万円超~200万円以下」は10.2%で、SMBCコンシューマーファイナンスによると平均は72 万円。前回調査の53万円から、19万円増えた。
貯蓄額の変化を婚姻状況別でみると、未婚者の場合で14万円の増加(前回47 万円 → 今回61万円)にとどまったのに対し、 既婚者では56万円の増加(70 万円 → 126 万円)と大幅に増え、既婚者の貯蓄志向の高まりが感じられた。
コロナ禍で「収入が減った」とする割合は回答者の3割を超えていたが、収入減が影響してコロナ禍前より貯蓄額が増えているとみられる。
「結婚しようと思える」年収、ハードル上がる?
コロナ禍の影響を受けた「懐具合」は、「結婚」への考え方も変えたようだ。回答者(1000人)に、「結婚しようと思える世帯年収額」を聞いたところ、「どんなに少なくても結婚しようと思える」と答えた人は14.9%。また、「年収500万円あれば結婚しようと思える」と答えた人は、ほぼ半数の47.9%。前回調査では「年収500万円」までで「結婚しようと思える」割合は56%だった。
一方、「年収600万円あれば結婚しようと思える」と答えた人は57.5%。つまり、20代の5割以上が相手の年収のハードルを「600万円」までと考えているようだ。同社では、「コロナ禍前より結婚へのハードルが上昇した」と指摘している。
さらに、「年収がどんなに多くても、結婚したいと思えない」と回答した人も21.8%と、前回調査(13.9%)と比べて7.9ポイント上昇しており、こうしたこともコロナ禍がもたらした雇用や収入に対する不安が、結婚についての意識に影響している表れとみられる。
なお、「20 代の金銭感覚についての意識調査 2021」は 2020年11月6日~9日に、全国の20~29歳の男女を対象にインターネットで実施。1000サンプルの有効回答(男女とも20代前半と後半250人ずつ)を得た。前回調査は19年12月の「20代・30代・40代の金銭感覚についての意識調査 2020」。SMBCコンシューマーファイナンスが1月14日に公表した。