旅行や帰省先で働きながら休暇を過ごす、新しい働き方「ワーケーション」。やってみたい人は多いが、経験者となると......。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つとして注目されている「ワーケーション」について、7割の人がそのことを知っており、やってみたいと考えているものの、実際に経験した人はわずかなことが、人材サービス大手のエン・ジャパンの調べでわかった。2021年1月18日に発表した。
ワーケーション「してみたい」は57%
「ワーケーション」は、インターネットの通信の高速化やモバイル端末の進化で、2000年代に入り米国で始まったとされる。日本では働き方改革のバリエーションとして知られるようになり、コロナ禍でクローズアップされるようになった。
調査ではまず、ワーケーションについて知っているかどうかを質問。「内容も含めて知っている」と答えた人は38%、「概要だけ知っている」が32%。合わせて、70%が「知っている」と答えた。
また、「ワーケーションをしてみたいと思うか」の問いには、「(してみたいと)思う」が28%で、「どちらかと言えば思う」が29%。合わせて57%と、約6割がワーケーションを「してみたい」と答えた。
エン・ジャパンによると、年代が若いほうが希望する割合が高くなっているという。
では、実際にワーケーションを経験した人はどのくらいいるのか――。経験の有無を聞くと、「したことがある」と回答した人は全体の7%にとどまる結果になった。
ワーケーションをめぐっては、テレワークに比べて、オンとオフとの区別、勤務時間の認定が容易ではないなどの理由から、勤怠管理の整備や、インターネット環境などのハード面、働き方などのソフト面で、さらに進んだ設備投資が必要とされるなど課題が多く、定着化には時間を要するとみられている。
調査ではワーケーション経験者に、メリットと感じることを質問(複数回答)。59%が「仕事をしつつリフレッシュできる」を挙げており、その効果を実感しているよう。また、「非日常に身を置くことで新しいアイデアが浮かぶ」を48%が、「長期休暇が取りやすい」を41%の人が選んだ。
一方、ワーケーションを「したことはないし、これからもするつもりはない」と回答した割合は65%。その理由を聞くと、「旅行・帰省先でまで仕事をしたくないから」(53%)、「社内で認められていないから」(36%)、「出勤が必要な仕事だから」(33%)の3項目が、上位を占めた。
なお調査は、転職サイトの「ミドルの転職」で35歳以上の利用者を対象に、2020年10月30日~12月24日に実施。2420人から回答を得た。