資生堂「選択と集中」進めTSUBAKIやunoなど売却検討 「高付加価値スキンビューティーカンパニー」目指す

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   資生堂は2021年1月22日、ヘアケアやスキンケアなど低価格帯のパーソナルケア事業の売却を検討していることを明らかにした。同日の事業売却報道を受けて状況を説明した。「現時点で決定した事実はない」としている。

   資生堂は3年前からは高価格帯・高付加価値ブランドを重視する戦略(プレステージファースト戦略)による事業再編で業績を向上させてきた。今回の事業譲渡は、この戦略に沿った「ブランドの選択と集中」の一環とみられる。

  • 資生堂はパーソナルケア事業売却の検討していることを公表・「高付加価値」ブランドの企業を目指すという(資生堂のウェブサイトから)
    資生堂はパーソナルケア事業売却の検討していることを公表・「高付加価値」ブランドの企業を目指すという(資生堂のウェブサイトから)
  • 資生堂はパーソナルケア事業売却の検討していることを公表・「高付加価値」ブランドの企業を目指すという(資生堂のウェブサイトから)

競争激化でポテンシャル最大化を

   パーソナルケア事業の売却については、経済・金融情報を配信しているブルームバーグが2021年1月22日の配信で報じた。その内容は、低価格帯の日用品事業を欧州系大手投資ファンドに「売却する方向で最終調整に入った。売却価格は1500億~2000億円の見込み」という。

   これに対して、資生堂は記事の公開直後に「当社のパーソナルケア事業の譲渡に関する一部報道について」と題したリリースを公表。

「アジアを中心にグローバルで展開するパーソナルケア事業(国内では株式会社エフティ資生堂)を、本年上半期を目途に、CVC Asia Pacific Limitedに譲渡すること、そして、その後、同事業を運営する新会社の株主として参画し、同事業のさらなる成長と発展に協力していくことなどを現在検討している」

と明らかにしたうえで、

「現時点で決定した事実はありません」

と加えた。

   資生堂のパーソナルケア事業では、ドラッグストアやホームセンター、スーパーなどが販路の中心である、低価格帯のヘアケアやスキンケア、ボディーケア製品のブランドがある。女性向けの「TSUBAKI(ツバキ)」、男性向け「uno(ウーノ)」のほか、2000年に買収したボディーケアブランド「シーブリーズ」などがそれ。

   同社は2014年に魚谷雅彦社長が統括顧問から昇格。16代目にして初めて外部から就任したプロ経営者がトップに就いた。魚谷社長は就任当初からブランド改革を強調して、6年間を見据えた中長期戦略「VISION 2020」を構築。18年からは、その実現を目指した「新3か年計画」を策定した。

   これら戦略や計画で核に据えてきたのが、「プレステージファースト戦略」。この戦略では資生堂のブランド事業の「選択と集中」を加速させることをうたっている。「新3か年計画」は2020年が最終年だったが、資生堂によれば今後も高付加価値製品を中核事業として、デジタル技術の取り組みを強化し「高付加価値スキンビューティーカンパニー」を目指す方針。事業譲渡の検討もその一環だ。

   パーソナルケア製品や洗剤・衛生製品などの消費財は、災害時や最近のコロナ禍などの感染症流行時では、店頭でのカウンセリング、プロモーションができないことで需要が抑えられるが、製品によっては特需が生じることもあり、その事業について極端な落ち込みはないと考えられている。

   資生堂では、そうした低価格帯の製品について「有力なブランドを有しており、日本をはじめ中国、アジアの国と地域に展開し、多くのお客さまから支持されている」とする一方、市場の競争激化を指摘。自社の事業の「ポテンシャルを最大化」させ「今後さらに成長させるためには、商品開発や広告宣伝などへの重点的な投資が不可欠」と判断したという。

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