絵を見る方法
最後に具体的にどう「美意識」を鍛えるのか、方法を示している。絵画を見るのも一つの方法だが、漠然と見るのではない。
(1) 何が描かれていますか?
(2) 絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか?
(3) どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか? 多くのグローバル企業やアートスクールで、行われているのが、上記のVTS(=Visual Thinking Strategy )だ。美術館に行かなくても、画集の絵などを使って自分で試みてはいかがだろうか?
また、自分にとっての「真・善・美」を考えるにあたって、最も有効なエクササイズになるのは「文学を読む」ことだとしている。特に「詩」を読むことは、「レトリック(修辞)」を磨くことにつながり、リーダーシップと関係があるという指摘は新鮮だ。
従来のビジネス本とまったく異なるテイストなのは、著者の異色の経歴のなせるわざだろうか。刊行から4年を迎えるが、まったく色褪せない価値ある新書だ。
「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」
山口周著
光文社
760円(税別)