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「直感」はいいが「非論理的」はダメだ!

   なぜ、そう考えるのか――。多くの企業、人にインタビューし、共通して指摘された3点を以下に挙げている。

(1) 論理的・理性的な情報スキルの限界が露呈しつつある
「正解のコモディティ化」が進み、「差別化」が消失する。また、分析的・論理的な情報処理スキルの「方法論としての限界」が露呈。要素還元主義の論理思考アプローチは機能しなくなる。それよりも、全体を直覚的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる構想力や創造力が求められる。
(2) 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
 「全地球規模での経済成長」が進展しつつあるいま、精緻なマーケティングスキルを用いて論理的に機能優位性や価格競争力を形成する能力よりも、人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になる。
(3) システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している
明文化された法律だけを拠り所にして判断を行うという考え方、いわゆる実定法主義は、結果として大きく倫理を踏み外すことになる恐れがあり、非常に危険だ。内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められる。

   以下の本文は脚注のようなものだとしているが、内外の例がめっぽうおもしろい。直感を意思決定の方法に用いたアップルの創業者、スティーブ・ジョブ。「直感」はいいが、「非論理的」はダメだとクギをさしている。

   本書の副題は「経営における『アート』と『サイエンス』」である。アカウンタビリティの問題から、アートには勝ち目がないが、サイエンスに傾くと失敗することも多い。

   ユニクロ、無印良品、マツダなどの成功例と、東芝、三菱自動車、電通などの失敗例が参考になる。

「サイエンスのみに軸足をおいて、論理的に確度の高い案件ばかりに逃げ込み続ければ、やがて現場は疲弊し、モラルの低下とイカサマの横行という問題が起きるのは当たり前のことです」
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