新型コロナウイルスの感染第3波の拡大を受けて、政府は東京都や大阪府、愛知県、福岡県などの11都府県に緊急事態宣言に発出した。2020年春に続く、2度目の発出に、政府や地方自治体は、7割を目標とした「テレワークなどの在宅勤務を推奨」している。
そんななか、市場調査の日本トレンドリサーチが、ふだん出勤している人(完全出勤)や一部出勤・一部テレワークの人に「出勤することに不安があるか」聞いたところ、「不安がある」と答えた人が43.9%にのぼったことがわかった=下の円グラフ参照。2021年1月20日に発表した。「不安がない」は34.9%、「どちらとも言えない」は21.3%だった。
インターネットにも、
「知人が発熱して、とりあえず自宅待機になったことを職場に伝えると『出勤してください』と。接客業なのに大丈夫かな?」
「コロナ感染の恐怖を感じながら明日も都内へ出勤。自宅待機はいつ?」
「今日も元気に出勤だ! 電車、バスで毎日怖い。コロナ疑いの人多いし、でも検査してもらえないし。現場の役員はリモートワーク。もしコロナになって家族に何かあったら絶対会社恨むわ」
といった不安の声がみられた。
テレワークでも「外の空気が吸いたい」......
出勤することに「不安がある」と答えた人に意見を聞いたところ、
ふだんから毎日のように出勤している完全出勤の人(n=643人の41.8%)は、
「やはり満員電車は怖い」(40代男性)
「もちろん会社としてもコロナ対策はしっかりしているが、全員がそれらの対策をきちんと守ってはいないため」(50代男性)
「事務所の出勤率は100%なので、誰かが罹っていたら全滅だと思う」(30代女性)
といった声があった。
一部テレワーク、一部出勤の人(n=212人の50%)でも、
「通勤電車での感染。出社時は8時半前後の乗車で比較的乗車率は高くないが、帰宅時は満員電車で、いくら全員がマスクをしていても感染を回避することは困難と感じる」(40代男性)
「通勤すると、どうしても人と話すことになるので」(60代男性)
「どこにいても感染しそう」(50代男性)
とのことだった。
「状況が変わらないから心配しても始まらない」
一方で、出勤することに「不安がない」と答えた人のうち、
完全出勤の人(n=643人の37.6%)は、
「考えられる対策を決め行動している。それでも感染したらやむ無しと考えている」(50代男性)
「対人業務ではなく職場人数も少ない上に感染対策をとっているから」(50代男性)
「自営業のため私一人であることと、自家用車通勤。日頃特定の人としか接しないから」(30代女性)
との声が。
一部テレワーク、一部出勤の人(n=212人の26.4%)からは、
「そのような不安をいい出したら外出自体できなくなってしまう。しっかり対策しているし周りもしているだろうから通勤くらいでは気にしない」(40代男性)
「電車の中でクラスターが発生したことはない。職場はテレワークで閑散としているし、外食もしないから」(60代男性)
「密になる職場ではないし、消毒やマスクはしっかりしているので出勤したとしても感染リスクがそれほど上がるとは思っていない」(40代男性)
といった意見が聞かれた。
また、出勤することの不安について「どちらともいえない」と答えた人のうち、完全出勤の人(n=643人の20.5%)は、
「職場の所在地がオフィス街ではないので、通勤時、バスなどが混んでおらず、所属部署の人数も少ないので密は避けられている。ただ、だから絶対大丈夫というわけではないから」(40代女性)
「工場勤務のため、いずれにせよ出勤しなければならない状況は変わらないから心配しても始まらない」(40代男性)
一部テレワーク、一部出勤の人(n=212人の23.6%)からは、
「通勤がいやだが社内ではソーシャルディスタンスが保たれており、あまり気にならない」(50代男性)
「テレワークで在宅していると疲れる。外の空気を吸いたい」(40代男性)
といった意見があった。
調査した日本トレンドリサーチは、
「半数近くが、コロナ禍での出勤に不安を感じる一方で、自身で感染対策をとっているため『不安はない』『気にしない』という方や、テレワークばかりでは『疲れる』という方もいるようだ」
としている。
なお、調査は「仕事をしている(コロナ禍以前から同じ仕事/転職をしていない)」と回答した男女1000人を対象に、2021年1月19日、20日の両日に実施した。