関西人がなぜ「阪急は別格」だと思うワケ

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「ソーライス」を唯一歓迎

   だが、決して格づくりだけを努めてきたのではない。たとえば、その食堂をめぐる、こんなエピソードが紹介される。街中の食堂が「お断り」の貼り紙をしていた「ライスだけの注文」に、阪急百貨店の食堂は快く応じていたという。

   百貨店創業のころの1930年前後、世間には不景気風が強まり、お客のあいだではライスだけを頼み、テーブルの備え付けのウスターソースをかけて食べる「ソーライス」というものが流行り始めたときの対応だ。

   利益の出ないライスだけの注文。阪急百貨店の食堂でも一時、お断りの貼り紙をしたが、小林一三が待ったをかけた。彼は、ソーライスを禁止にするどころか「ライスだけの注文歓迎」を打ち出したという。小林の主張はこうだ。今は貧しくても結婚し子どもができた時に家族でこの食堂にきて料理を注文してくれる時が必ずくる――。

「自分たちの利益だけでなく、人々の幸せを考え、豊かな生活を送れるように、自分たちのできることを実行する」

   この小林のポリシーが連綿と受け継がれ、「人々の暮らしをより豊かにする」という考えが阪急に根付き、ブランド価値を高める支えになっている。

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