東海エリアを中心に、24時間年中無休の総合フットネスクラブ「FIT‐EASY(フィットイージー)」を運営しているフィットイージー株式会社(岐阜市)は、今後の新たな複合店舗として「コインランドリー」に着目している。
同社はすでにコンビニエンスストアのファミリーマートが展開している24時間フィットネスクラブ「Fit&GO」(全5か店)の事業を譲り受けることが決めている。
フィットネスイージーの國江仙嗣社長に、その戦略を聞いた。
ファミマから事業譲受「コンビニ+フィットネスクラブ」
フィットネスイージーは、安心・安全で楽しく汗を流せるフィットネスクラブを標榜している。
最先端の独自開発による顔認証セキュリティの入館システム「顔パス認証」や、新型コロナウイルス感染症対策として、利用者(会員)の顔パス認証と連動した熱感知システムによる非接触での自動解錠システム。次世代の、24時間フィットネスクラブ初の大画面映像によるバーチャルバイクスタジオ「FIT‐RIDE」やフィットネススタジオ「FIT‐AERO」(一部店舗を除く)を導入したオンラインレッスン。また顔パス認証の活用で、利用者がスマートフォンから登録できる、来店いらずの入会システムを用意している。
こうした取り組みが奏功して、このコロナ禍でも会員数を伸ばしているという。
現在、12都道府県に66店舗を展開しているが、同社はかねてから2021年に店舗を全国に拡大することを計画。22年までに「200店舗」のオープンが目標だ。その中で、高い集客力が見込める「複合店舗」での出店を模索していた。
コンビニエンスストアとの複合店舗は、その第1弾。大田長原店(東京都大田区)や関内店(横浜市中区)、仲六郷第一京浜店(東京都大田区)、福生駅前店(東京都福生市)、ポンテポルタ千住店(東京都足立区)の5か店の「Fit&GO」を、ファミリーマートから譲り受け、全国展開に弾みをつける。
5か店の「Fit&GO」は2月末日までの営業で、店舗改装後の3月上旬にリニューアルオープンする予定。現会員は手続きなく、そのまま利用できる。
「人々にフィットネスの習慣づけをする、『生活の一部』となるフィットネスクラブを目指しています。これまでのFit&GOのサービスを継承しつつ、独自のサービスをプラスすることで、誰もがより快適に安心してトレーニングいただける環境を提供していきたい」
國江仙嗣社長は、そう話している。
コインランドリーは人件費を使わないビジネスモデルになる
そんなフィットイージーが、今後の出店計画の中で浮上してきたのが、「コインランドリー」だ。
國江社長は、
「コンビニとの複合設設はお互いに24時間営業という共通点もありますが、借地代金や施設の建築費も含めて、単独では収益性が見込めない広い土地、収益性の良い好条件の土地を複合にすることによって収益性を高めることに繋がります。
これからの出店計画の中でも、単独での出店に有り余る用地の場合はコンビニやコインランドリーも含め、展開していきたい。その場合、弊社が企画開発を進め、コンビニのフランチャイザーやコインランドリーのグループフランチャイザーに次なる収益中にフィットイージーの収益も含めてもらえるように複合設設に単独経営者という形をとれるようにできたら、と考えます」
と、メリットを説明。
「コインランドリーは、フィットイージーと同様に人件費を使わないビジネスモデルとなり、施設管理、清掃業務をコンビニのスタッフが総合的に行うことも考えられます」
と、「コインランドリー×スポーツジム」の相性の良さを強調する。
一方のコインランドリーも、共働きや独身世帯で家事を外注する人が増えたことで、ニーズは高まっているものの、店舗数の急増でここ数年は集客力を高める工夫が求められるようになってきた。フィットイージーの提案は「渡りに舟」かもしれない。
さらに、國江社長はショッピングモールなどの複合施設を、駐車場の効率化も含めてスポーツジムには最適な出店方法とみている。
「クルマが生活必需品とする郊外型の弊社のジムでは最低30台以上の駐車場を必要とします。時間帯は夜7時から12時が最も混雑する時間帯ですが、駐車場の必要時間帯が異なる他業種との複合がBESTかと思います。スポーツジムは設備を使用する人数が毎日一定して多いので、複合施設にも幅広い時間帯で活気ができ、いろいろな業種と双方にメリットが享受できるので、複合施設へも積極的に出店していきます」
と自信をみせる。
フィットネス業界は新型コロナウイルスによる一時的な停滞はあっても、今後も成長が続く市場とみている國江社長。今後3年間に計画している全国150店舗の出店のうち、約半数が複合施設への出店を検討しているという。