宣言が2月7日以降に延期されたら「アウト」だ
中止になると、菅政権にとって大打撃になるのは必至だ。時事通信は「開催できるかどうか米国次第」と、こう続ける。
「ある派閥領袖も『中止なら政権に打撃。五輪開催をコロナとの戦いの勝利宣言にすると言ってきたのだから、政治責任を問われる』と言い切った。米国でも感染拡大が続き、首相周辺は『開催できるかは米国次第。米国人選手が参加しないとスポンサーもつかない』と弱音をはく。その米国の有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1月15日、IOC関係者らの間で安全な開催の実現に懐疑的な見方が出ていると報じた」
ワクチンの遅れも痛手だ。
「菅首相は1月7日の記者会見で、ワクチン接種が各国で始まり、日本も2月下旬から医療従事者らを対象に開始する方針を説明。『しっかり対応すれば、国民の雰囲気も変わる』と、ワクチン効果に期待を示した。接種は現時点で欧米が中心で、途上国への供給や副作用のリスクが課題。感染力が強いとされる変異ウイルスへの有効性も未知数だ」
菅首相は五輪を経済再生の起爆剤と期待しており、「観客入り開催」が大前提。首相が旗振り役となって外国人の入国緩和を進めてきたのもそのためだ。しかし、変異種が日本でも確認されたことで、全世界を対象とした入国緩和策を停止。例外的に認めてきたビジネス関係者らの往来も一時停止に追い込まれ、五輪開催に向けた状況は厳しくなるばかりだ。
最終的な決定はいつになるのか。時事通信はこう結んでいる。
「3月25日には福島県から聖火リレーが始まる。昨年(2020年)は聖火リレー開始直前に1年延期が決まった。聖火リレー開始までに、緊急事態宣言を解除し、感染収束にめどを付けることができるかが焦点となりそうだ」
(福田和郎)