KDDI(au)が2021年1月13日、携帯電話の新料金プラン「povo」(ポヴォ)を発表したことで、携帯電話大手3社の新料金プランは出そろった。
概ね3社横並びの結果となったが、武田良太総務相が1月15日の記者会見で、KDDIが発表したプランについて、
「非常に紛らわしい。最安値と言いながら、結局、他社と同じ値段」
と、やり玉にあげたことが波紋を広げている。
ネット上では武田総務相に対して、
「武田大臣はスマホに疎いのではないか。無用の混乱を業界に引き起こしている。勉強し直したほうがいい」
と総スカン状態だ。
「武田大臣の発言で通信業界が振り回されている」
ネット上では、この「総務省VS携帯電話大手」の第3ラウンドについて、さまざまな意見があふれている。まず、武田総務相の「お怒り」に疑問の声を上げる人が多かった。
ケータイ・スマホジャーナリストの石川温(つつむ)氏が、こう指摘した。
「KDDIは発表会の質疑応答で、記者から聞かれる形で社長が『最安値』と言及したものの、積極的に最安値のアピールはしていない。武田総務大臣の『非常に紛らわしい』という指摘はお門違い。なぜ、1回5分までのかけ放題を切り離し、電話をほとんど使わない人が安く使える料金プランを作ったにも関わらず、KDDIは怒られなくてはいけないのか。理解に苦しむ。武田大臣の発言によって、日本の通信業界が振り回されている。MVNO(格安スマホ会社)や楽天モバイルなど、武田大臣によって撤退を余儀なくされる危険性もありそうだ」
ITジャーナリストの篠原修司氏も同じ意見だ。
「KDDIの発表はまったく紛らわしくありません。電話をかけないユーザーは、ドコモのahamoやソフトバンクのSoftBank on LINEではなくpovoを選ぶことで500円安く利用できる。ただそれだけ。とても簡単なことです。仮に『20GB+5分かけ放題で月2980円より安くしてから最安値』と言うのであれば、それはもう不当な圧力にほかなりません。無用なトラブルを起こしているのは武田総務相のほうでしょう」
フリーランスジャーナリストの山口健太氏も、KDDIに軍配を上げた。
「KDDI高橋社長は『音声を別料金にすることで3キャリア最安を出したかった』と質疑応答で狙いを語った。紛らわしさを感じる余地はない説明でしたが、見出しなどで『KDDIは最安値』が一人歩きしたようです。音声を別にした根拠として、若者はアプリ通話が中心で、携帯の音声通話は6割以上が月に10分未満しか使っていないことをあげています。LINEなどのアプリ通話が中心の人なら他社より500円安く使えるので、消費者にとって確実にメリットのあるプラン。各キャリア横並びではなく、競争を促進することは総務省自身が取り組んできたこと。武田大臣の発言は難癖をつけていると感じる人が多いのではないか」