コロナ禍に負けない「ベゾノミクス」 アマゾン化に向かう世界

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世界最大のクラウド、AWSが強み

   しかし、現場では混雑した倉庫の中で作業する従業員たちの感染を防止する措置で配送のスピードが低下。そこでベゾス氏は約40億ドルを投じて配送・倉庫システムの再設計と安全性の向上を図る。

   また、従業員の作業着の袖にAIシステムのデバイスを装着。作業員同士が近づきすぎるとライトが点灯したり警告音を発したりする仕組みで「密」状態を防ぐ環境づくりを行った。

   こうした予想外のコストを余儀なくされたアマゾンだが、小売業の世界で進んでいたオンライン化がコロナ危機で加速。消費者は「特に生鮮食品のような商品をオンラインで購入することの利便性を認識した」という。

   その証拠に、パンデミックの期間、アマゾンの食料品の注文は、2017年に高級食料品のスーパーチェーン、ホールフーズを買収したこともあり、60%も上昇した。こうしたことから、ある金融サービス会社の予測では、アマゾンの食料品の総売上高は2023年までに、2020年の水準の2倍である880億ドル(約9兆2000億円)に達するとされている。

   コロナ禍では、購買のオンライン化以外の面での変化も、アマゾンがサービス提供者として際立つことになった。アマゾンの事業の中で最も収益性が高いのは、世界最大のクラウドコンピューティング・サービスであるAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)だ。

   ビジネスでのテレワーク、生徒や学生らのオンライン授業、ズームなどのビデオ会議プラットフォームを使った会議が「普通」のことになりAWSのビジネスはより強固なものになっているという。

   コロナ禍ではまた、人々はゲームやネットフリックス、プライム・ビデオなどのストリーミングメディア・サービスを利用する時間が増え、これらのサービスはみなAWSのサーバーを使って稼働している。コロナ禍以前のAWSを使ったサービスの顧客である航空会社やホテルなどは壊滅的な影響を受け、その利用をやめているが、AWS部門は2020年第1四半期に33%の成長を遂げた。

   「ウィズコロナ」が、アフターコロナ、ポストコロナに向かって、アマゾン化の時代の到来を示すことはほかにもある。アマゾンの自動化の取り組みが「ソーシャルディスタンス」の実現、非接触化の徹底と合致しているからだ。アマゾンのサプライチェーンではAIで制御されたロボットや自動運転の配送車が稼働。コロナによる再度の感染拡大や、別のパンデミックが発生するたびに、アマゾンの競争上の優位を与えるだろうと著者をみている。

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