「コロナ禍で苦しむ人々のために受信料を下げよ!」
武田良太総務相の執拗な批判に屈したのか、NHKは2021年1月13日、受信料を値下げすると発表した。
しかし、実施するのは2023年度。つまり2年後だ。
「コロナで苦しむ人に間に合うのか?」
という疑問の声が噴出するかと思いきや、ネットでは、
「武田総務大臣、そこではありません。受信料値下げなんかよりスクランブル放送を!」
という怒りの声が、NHKと武田総務相双方に相次いでいる。
子会社も含めNHKの「連結剰余金」は3777億円!
主要メディアの報道をまとめると、NHKは経営委員会を1月13日に開き、2021~23年度の中期経営計画を議決した。その中で、武田良太総務相から「コロナ禍で家計負担を軽減するために」と早期実施を求められていた受信料値下げを2023年度に行う方針を盛り込んだ。
2年後では、「コロナ禍での家計負担軽減」には間に合わないが、収入の1割に当たる約700億円分を還元原資に充てる。支出の大幅削減のため、衛星放送(BS)の「BS1」「BSプレミアム」の2波を2023年度に、AMラジオの「第1」「第2」の2波を2025年度に、それぞれ一本化する。BSについては、2Kの「BS1」と「BSプレミアム」を統合した後、将来は「BS4K」を含めた1波にすることも視野に検討としている。
NHKが中期経営計画を発表した昨年(2020年)8月の段階では、受信料値下げは盛り込まれていなかった。ところが、武田良太総務相の「値下げ圧力」は非常に厳しいものだった。
特にやり玉にあがったのが、増え続けているNHKの剰余金だった。NHKは昨年10月、受信料を月額35~60円の値下げをしたが、剰余金は増加傾向にある。2015年度は約800億円だったが、2019年度は1280億円に膨らんだ。
子会社の剰余金も含めると、「連結剰余金」は3777億円に達する。武田総務相は昨年12月24日、BSフジ「LIVEプライムニュース」に出演して、こうNHKを糾弾したのだった。
「携帯電話料金よりNHKの受信料を何とかして、と言う声が多い。多くの国民が納得していない。徴収の仕方もあまりに強制的すぎると言われている」
と改めて指摘したうえ、契約内容についても、
「支払い契約ではないので支払いの義務はないのですよ。これは契約義務。テレビを設置したら届けてくださいということなのです」
とまで言及した。
さらに3777億円のNHK連結余剰金についても、
「異常でしょ。税金だって取りすぎたら返す。ここまで余剰金があるのなら受信料に還元するのが公共放送のあるべき姿です」
と、猛批判した。