コロナ禍の「おかげ」で2ケタ減 でも、喜べない!2020年の交通事故の恐ろしい実態(鷲尾香一)

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死者数の上位は人口減で高齢化率の高い県

   新年早々の1月4日、東京都渋谷区笹塚の国道20号線の交差点で、タクシーが横断歩道を渡っていた歩行者を次々とはね、1人が死亡し5人が負傷するという事故が発生した。タクシーの運転手は73歳の男性で、高齢者による交通事故だった。

   2021年も引き続き、高齢者の交通事故が注目を集めそうだ。

   さて、死者数のワーストは、東京都が155人、愛知県154人、北海道144人、神奈川県140人、千葉県128人と、主に首都圏に集中している。

   ただ、これは人口の多さに比例して交通事故数が多く、死者数が多くなっているということにすぎない。

   従って、人口10万人あたりの死者数を見ると、香川県6.17人、福井県5.34人、高知県4.87人、三重県4.10人、佐賀県4.05人と、むしろ人口減少県で高齢化率の高い県が上位を占める。ちなみに、東京都の人口10万人あたりの死者数は1.11人でしかない。

   経済や生活に大きな悪影響を与えている新型コロナウイルスも、交通事故には好影響を与えたとは皮肉なものだ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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