2021年はパンデミック後の世界に入る! 「日本は優位」菅政権がパニックに陥らなければ、だが...【世界を占う】(小田切尚登)

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習近平氏の「舌先三寸」で決まる中国のゆくえ

   中国については、2020年の時点で主要国で唯一プラス成長を遂げており、その勢いで2021年も好調を持続するだろう。欧米の経済が復活していくと、その恩恵も受ける。

   ただし、中長期的には中国には、いろいろと難しい面がある。たとえば、習近平氏によって経済のコントロールが強化されていく中で、新興企業が自由に活動するのが難しくなってくる。

   少し前にジャック・マー(アリババグループの創業者)が中国政府に厳しく糾弾された件などが典型的な例だが、こういうのは決して経済にプラスにならない。一方で金融やインフラなどで存在感の大きい国有企業は官僚的な経営になりがちで、展望が見いだしにくい。米中の通商関係がバイデン新大統領のもとで、どう変わっていくかも重要である。いずれにせよ習近平氏の「舌先三寸」で決まる部分が大きく、予測は難しい。基本的には良さそうだが注意も必要、というところだ。

   ヨーロッパはコロナで深刻な打撃を受けているが、2021年には上向いていくであろう。EU(欧州連合)については、2020年末にBREXIT(英国のEU離脱)と中国との投資協定という二つの大きな経済外交の成果が出た。

   特に中国との通商の促進は経済的に大きなプラスになり得る。これは中国の孤立化を目指す米国(そして日本、インド......)にとっては問題であるが、ヨーロッパにとって中国は何より通商の相手であり、地政学的に大きな脅威と見られていないので、当然の動きであろう。ちなみに、ヨーロッパにとっての最大の脅威はロシアである。

   ただ、ヨーロッパは政治的には混乱が続くことが予想される。2021年9月のドイツの選挙ではおそらく波乱が起きず、メルケル首相の後任に同じキリスト教民主同盟から選ばれそうではあるが、2022年のフランスの大統領選挙では、右派の国民連合のマリーヌ・ル・ペン氏が現大統領のマクロンを破って当選する確率がかなりある。そのほかにもヨーロッパには政治的な不安要因を抱える国がいろいろあり、心配のタネとなっている。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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