株価の変動を根拠として投資をするとき、双璧をなす戦略として「順バリ」と「逆バリ」がある。SMBC日興証券の株式用語集によると、順バリは「多くの買い手が集まって株価が上昇しているときに買い、下落基調のときに売る」投資手法のことだ。一方、逆バリは「相場の下落局面で買い、上昇局面で売る」投資手法である。
両者は相反するような投資戦略だが、いずれも古くから存在するもので、一概にどちらが優れていると断定することはできないようだ。
だが、特定の金融商品や相場状況においては、どちらか一方の戦略が成績を上げやすい、ということもあるという。そうした事例について、紹介したい。
「順バリ」に優位な金融商品
かつて、商品先物取引が盛んに行われているアメリカのシカゴで「まったくの素人を教育して、優れたトレーダーを育成することは可能か」という話題で、2人の著名なトレーダーが賭けをした。
これが「タートルズ」と呼ばれる計画で、実際に何名かのプログラム参加者は後に成功したトレーダーやファンドマネージャーとなっている。
「タートルズ」のトレード戦略は、直感(裁量)に頼らないシステム的なもので、戦略は高値更新した金融商品を買い持ちにして、安値更新した商品を売り持ちにする「順バリ」型だったという。
「タートルズ」の計画は1980年代のものだったが、その後のプログラミングを使用した検証において、長年にわたって優位性が失われていない、とされている。
「タートルズ」がトレード対象とした商品は、商品先物(農作物、エネルギー、貴金属)や外国為替、債券先物、株価指数などだった。特に、商品先物や債券先物は大きなトレンドが出やすい傾向があるといわれている。
そうした「順バリ」型の戦略が優位性を持ちやすい商品を、システム的にトレードし続けることで、長期的に利益を上げることができたのではないだろうか。