新型コロナウイルスの感染大爆発が止まらない。2021年1月7日、東京都の新規感染者がついに2447人と2000人を突破。国内感染者も7000人をオーバーした!
政府は同日、首都圏の1都3県に緊急事態宣言を発令した。大阪府の吉村洋文知事も宣言発令を求める構えだ。
こんななか、メディアの一部とネットでは、
「これで東京五輪の開催は完全に終わったな」
という声が広がっている。
「5、6月には開催を判断」と能天気なIOC委員
読売新聞(1月6日付)はIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長の電話インタビューを、解説面1ページを使って掲載した。同紙の結城和香子編集委員は、コロナの感染拡大が続く日本では五輪開催を危ぶむことが多いことを伝え、こう聞いている。
――現在の日本の世論を見ても、開催に懸念を覚える人々は依然多い。
バッハ会長「今の状況下で懸念が生じないようだったら、私はむしろ驚く。五輪のような大きな大会が開けるかと、自問するのは当然のことだ。ただ、その中にあって日本でも野球の試合や競技会は開催されたし、状況が深刻な欧米でもそうだ。ワクチンや効率的な検査の開発も目に見える形で進んでいる。五輪開催時には人々は、熱意を持ち支援してくれるだろうと思う。困難な闘いの末に手に入れた勝利は、与えられた勝利よりもはるかにうれしいものだからだ」
――競技現場からは、調整の困難さへの懸念も漏れ聞く。選手は、PCR検査で陽性になれば、五輪出場の夢を絶たれかねない。
バッハ会長「世界中の多くの選手は困難に直面している。五輪選考の日程が未定の競技さえある。そんな中で選手が発揮している柔軟性には頭が下がる。かれらは自らの困難を乗り越えるだけでなく、社会の人々を励ますための発信まで行っている」
「日本と連携し、IOCは様々な状況に対応できる対策を用意している。選手や関係者は、ルールを尊重するというスポーツの価値が身についている。感染症対策でも、自分や周囲の人を守るための規則を尊重してくれると確信している」
そして、こんな感慨を語ったのだった。
バッハ会長「昨年11月に東京を訪れて、国立競技場のトラックを1人で歩いた。私は、自分を選手の立場に置き、開会式に臨む思いを想像した。喜びだろうか、安堵だろうか、緊張だろうか。それは喜びと安堵の交錯だろうと考えた。何という経験だろう、でもついに五輪出場の夢がかなうのだと」
最後に、日本人にこう呼びかけた。
バッハ会長「スポーツでも人生でも、何かを成し遂げる時に必要なのは、信じる力と情熱だ。東京五輪は、希望と自信を世界に与え、日本の人々の誇りとなるだろう」
また、日本テレビ(1月7日付)「IOC委員『5、6月までには判断すべき』」によると、IOCの古参委員ディック・パウンド氏(カナダ)にオンラインで取材したところ、こう語った。
「日本だけでなく、世界中が開催を望んでいる。今の時点では開催できると思うが、5月か6月になったら開催するかを判断しなければならない。無観客か観客を限定することも選択肢の一つだ。(観客の)全員がワクチンを接種にならない限り、何人か観客は入れても満員にすることはないと思う」
そして、出場選手のワクチン接種については、
「各国の判断だが、選手には優先的に接種するよう推奨すべきだ」
と述べたのだった。
しかし、「5、6月に判断する」とは、開催予定日(7月23日)の1~2か月前ではないか。トンデモない話である。IOCに最終的な判断を委ねていたら大変なことになりそうだ。