社説で「断固開催すべし!」と檄を飛ばす産経
一方、「断固開催すべし!」と社説で檄を飛ばすのが、産経新聞(1月6日付)の主張(社説)「東京五輪 今こそ『聖火灯す』覚悟を 後世の指針となる足跡残そう」である。
「新型コロナ変異種の国内流行も懸念される。五輪開催に批判があるのはやむを得ない」
としながら、
「思い出してほしい。2013年に東京大会を勝ち取ったときの高揚感...。『おもてなし』は流行語になり、国民の意識は外に向かって開かれた。五輪・パラには社会を変える力がある。アスリートはもっと誇りを持ってほしい」
と選手に呼びかけた。
産経新聞にとって、五輪代表選手たちの開催を望む意思表示が身勝手と受け取られることを懸念するムードが広がっていることが残念でならないようだ。こう続ける。
「五輪開催は社会経済活動の活性化の延長線上にある。社会を覆う閉塞感を打ち破るうえでも、アスリートが前傾姿勢を示すことには何の違和感もない。スポーツの力を体現する人が先頭に立ってこそ、五輪開催論も説得力を伴う。スポーツの価値を守り抜く覚悟を見せてほしいのだ」
と、もっぱら選手にばかりハッパをかけているが、肝心の東京大会での新型コロナウイルス対策を、産経新聞はどう考えているのか。
「選手や観客の健康や安全が最優先されるべきなのは言うまでもない。960億円を充てる東京五輪のコロナ対策費は、国と都が分担する。感染防止策など必要な支出を惜しんではならない」
と述べるにとどまった。そして最後は、
「聖火は世界の国々にとって『希望の火』であり、日本が必ず灯すという意思を発信し続ければ、世界の賛同と協力は得られよう。『日本だからこそ開催できた』と後世の指針になるような足跡を残せれば理想的だ。日本の総力を挙げて開催準備を進め、興奮と感動の大会を作り上げたい」
という「精神論」で結ぶのだった。
(福田和郎)