新型コロナウイルスの感染拡大に伴って仕事(シフト)が減った際に勤め先から休業手当を受け取れない場合、労働者本人が申請すれば受け取れる「休業支援金」や「給付金」があることについて、シフトが減ったパートやアルバイトの女性に聞いたところ、「知っている」と答えた人は16.1%で、59.2%が「知らなかった」と回答したことが、野村総合研究所(NRI)の調べでわかった。2020年12月29日の発表。
コロナ禍でシフト減のパート・アルバイト女性で、休業手当を受け取っていない人のうち、「休業支援金」のことを知っていて、受け取っている人は8.5%で、86.4%は「申請していない」と答えいる。
申請していない人に、その理由を聞いた(複数回答)ところ、最多は「自分が申請対象になるのかわからなかった」で66.5%。次いで「申請方法がわからなかった」の23.7%となっている。
「時短勤務」でも休業手当は支給対象になる
調査によると、パート・アルバイトの女性のうち、4人に1人(25.7%)が、コロナ禍前と比べて仕事(シフト)が減っていると回答。そのうち、まったく「シフトに入っていない」人は4.2%で、パート・アルバイト女性の1.1%にあたる。パート・アルバイト女性の中には、完全な休業状態ではないものの、仕事が大きく減っている、部分的な休業状態にある人は少なくない。
コロナ禍でシフトが減ったパート・アルバイト女性のうち、休業手当を受け取っている人は24.3%で、75.7%が「休業手当を受け取っていない」と答えた。また、「パート・アルバイトなど非正規労働者であっても、休業手当を受け取ることができること」を知っている人は42.7%で、知らなかった人は26.4%だった。
一方、「1日単位の休業だけでなく、勤務時間を短縮するような『時短休業』であっても、休業手当を受け取ることができる」ことを知っている女性は22.0%で、知らなかった人の割合は56.3%にのぼった=下グラフ参照。
コロナ禍で仕事が減り、収入が減っている女性のうち、62.0%が「食費の支出を減らした」、43.2%が「水道光熱費や通信費の支出を減らした」と回答。また、66.0%が「貯蓄にまわす金額を減らした」、55.5%が「貯蓄を取り崩した」と答えた。53.8%の女性が「暮らし向きが苦しいと感じること」がコロナ禍前よりも増えたと回答。75.1%が「将来の家計への不安を感じること」が増えたと答えている。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、仕事が減っているパート・アルバイト女性に、「休業手当」や「休業支援金」などの経済的支援が行き届かず、生活に困窮したり、将来不安を強く感じたりしている人は少なくない。
NRIでは、
「既存支援策が行き届いていない層を含め、支援策を広く、わかりやすく周知することに加え、そうした層が相談できる窓口の設置などの対策が急務」
としている。
なお調査は、NRIが12月18日~21日に、全国20~59歳のパート・アルバイトの女性5万5889人と、そのうち新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事(シフト)が減少している女性の5150人を対象に、インターネットで実施した。