「会食が感染の元凶」と言い切った尾身茂会長
なぜ今回、特に飲食店がやり玉にあがっているのか――。それは、昨年(2020年)12月21日、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が記者会見で、
「10月以降の東京都内の感染状況を分析した結果、明確なエビデンス(根拠)はないが、約6割の感染経路不明者の多くは、蓄積した知見などから、飲食の場を通じたものと判断している。だから、年末年始の飲食店での会食を控えていただきたい」
と、呼びかけたことにさかのぼる。
ちなみにこの時、尾身会長は、
「現時点では緊急事態宣言を出すような状況にはないと思うが、今の状況が続けば医療がひっ迫するのは明らかだ。会食、飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが感染拡大を防ぐ急所だ。この急所を抑えることができれば、年末年始に向けて感染を下火にもっていくことは可能だと思う」
と言い切ったのだった。
それから2週間後、緊急事態宣言発令にまで追い込まれたのは、ひとえに「飲食・会食を抑えられなかったから」というのが政府の眼目のようだ。
加藤勝信官房長官も1月5日の記者会見で、政令を改正して一般の飲食店にまで店名公表を広げる理由について、
「経路不明の感染原因の多くは飲食店だ。(時短を要請する知事に権限を付与して)感染リスクの軽減をより実効的なものにするためだ」
と強調した。
つまり、飲食店に対して、
「要請に従わなければ店名を公表してさらし者にするぞ」
という脅しの効果を狙っているわけだ。