会社内でモテモテの彼女は、評判のベッピンさん。男性社員にとって高嶺の花です。そんな彼女に恋をしてしまった人がいます。
彼の名前はA君。目の前にそびえ立つ山はエベレストより高いという噂ですがA君は諦めきれません。どのようなテクニックを使えば、うまくいくのでしょうか。今回はビジネス心理学をベースに考えてみましょう。
「ココロを盗む! ブラック人生相談」(岸正龍著)辰巳出版
絶対落としたい相手を落とすには!
著者の岸正龍さんは、どんな相手にも通用するテクニックがあると言います。その秘法は「犬猫トレーサー」というものです。いったい、どのようなテクニックなのでしょうか。
「それは、アメリカの心理学者セオドア・ニューカム博士が、学生寮に入った7人の学生を対象に部屋割りをした際の実験です。ニューカム博士は入寮に際に、宗教や人種問題などについて異なる考え同士の学生が隣になる部屋割りをしました。誰と誰が親しくなっていくかを調査したところ、近い部屋の人同士が親しくなっていることがわかりました」
さらに......。
「半年後に同じように調査をしてみました。すると、部屋の近さに関係なく、考え方の似ている者同士が親しくなっていることがわかりました。これを心理学で『類似性の法則』と呼ばれるものです。人は、『自分に似た人に好意を抱きやすい』という心理メカニズムを持っています。この類似性の法則を使って女子と仲よくなる心理術が『犬猫トレーサー』です」
方法は簡単です。狙っている相手に「犬か猫かどちらが好きなのか」聞いていくだけ。こんなものが本当に役立つのでしょうか。
岸さんは、次のように続けます。
「相手が答えるほうに『そうですよね、僕もそうです』と、心からの共感を示しましょう。『僕とあなたは似ている』を柔らかに主張するわけです。そこから、さらに深掘りをします。たとえば、相手が『犬』と答えたのなら、『大型犬と小型犬どちらが好きですか?』と質問します。『小型犬』と答えたら、『やっぱ犬は小型ですよね、僕もなんですよ』と共感し、『毛が短いのと毛が長いの、どっちが好きですか?』と聞きます。相手の答えに同じく同調すればいいのです」
「そして、答えるものをすべて超肯定でトレースしていきます。こうすると、『自分に似た人に好意を抱きやすい』心理メカニズムが相手に働いて、好意を持ってくれる確率がグンと上がります。違う動物が出てきた場合も同じです。徹底的に『ですよね、僕もそうです!!』を貫き通すことが大切です。犬トレーサーを使うためにはある程度、犬や猫、あるいは他の動物についての知識が必要ですが、それほど難しくはありません」
「犬猫トレーサー」は「僕もそうです!」を繰り返すことだけだったのです。これなら誰でも簡単にできそうな心理術だと思いませんか。
心理術を応用しましょう
世の中には心理術の本が、じつにたくさん出版されています。しかし、「理論」や「実験報告」メインで、「いえ、それはそうなんでしょうけれど実際には使えないよね(あるいは、使いづらいよね)」と、思わされるものが少なくありません。
心理学で有名なものに、アサーティブ、フレーミング、バーナム効果、コールドリーディングなどがあります。心理学は、知っているだけでは役に立ちません。大事な場面で「使える」という実践的なレベルにまで高めておかないと、中途半端な知識で終わってしまいます。あなたがココロに秘めている悩みは、心理術を使えば簡単に解決できるものかも知れません。(尾藤克之)