医療専門家「一番大事なのはリーダーからの強いメッセージ」
こうした事態を医療の専門家は、どう見ているのか。
濱田篤郎・東京医大教授(渡航医学)は、朝日新聞(1月4日付)「『緊急事態』要請 専門家は」の中で、こう述べた。
「11月下旬からの『勝負の3週間』が終わった後も、感染は収まらなかった。『外出を控えて』など、わかりやすい言葉で政府は国民に発信できていない。医療崩壊を防ぐために緊急事態宣言は必要だ。宣言を要請している4都県に限定し、1か月程度の期間が必要だ」
感染症内科医の岩田健太郎・神戸大大学院教授は、同じ朝日新聞の中でこう強調した。
「基本に戻り、感染者を減らす対策を打つ必要がある。だが、宣言は最後の手段だ。『ここを超えたら緊急事態宣言を出すから、いま頑張ってください』と条件を提示すべきだ。医療崩壊で苦しむのは患者だという理解が広がり、危機感を醸成できれば宣言は回避できる」
大曲貴夫・国際感染症センター長は、毎日新聞(1月4日付)「『第3波』感染抑え込み 『国は明確なゴール示せ』」の中で、感染者が1日あたりゼロや数人レベルの台湾やニュージーランドを例にあげ、「リーダーシップの重要性」をこう訴えた。
「社会全体が目標を持って対策できるよう、国レベルで明確なゴールを示す必要がある。『ある程度感染が収まったら、対策を緩める経済活動を元の状態に戻す』ということを繰り返すと、さらに状況が悪化するということを1波から2波、2波から3波の経験で学んだ。その繰り返すは避けなければならない。一番大事なのはリーダーからの強いメッセージだ」
(福田和郎)