「能登駅伝」が三大駅伝の一つだった
いまや読売・日本テレビグループの一大イベントとなっている箱根駅伝。ただ、そうなったのは意外に新しい。
「箱根駅伝を超えようとした幻の『能登駅伝』」(能登印刷出版部)は、そのあたりの裏事情を書いている。現在、大学男子の三大駅伝といえば、「箱根」を頂点に、「全日本」(秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会)と「出雲」(出雲全日本大学選抜駅伝競走)だが、約半世紀前には、「能登駅伝」というのがあったそうだ。まだ「出雲」が始まる前の話だ。
「能登駅伝」は1968(昭和43)年に始まり、77(昭和52)年に幕を閉じた。文字どおり能登半島を一周するコース。全国から有力校が参加した。
開催のきっかけは、能登半島が国定公園に指定されたこと。観光PRの一環として地元の七尾市と読売新聞が大学生の駅伝大会を発案。企画運営は金沢大学など北信越地区の大学陸上部の学生たちが担当した。
当初は一回限りの予定だったが、初回の成功で毎年開催に切り替わる。背景には「駅伝」をめぐる読売新聞の事情があった。