東京都が実施した「テレワーク導入率緊急調査結果」によると、従業員30人以上の企業では、3月時点で24.0%、4月時点では62.7%に増加し、企業規模が大きいほど導入率も高くなる傾向が明らかになりました。
今後もテレワークが浸透していくものと予想されます。マナーを守ってコミュニケーションを取るための使い方を押さえたいものです。
「超基本 テレワークマナーの教科書」(西出ひろ子著)プレジデント社
ドタキャンをSNSで済まそうなんて言語道断!
ビジネスの現場では、スピーディーな報連相が必要です。そのようなニーズから誕生したのが「ビジネスチャット」。気軽にコミュニケーションを取れること、そして、タスク管理やビデオ会議も可能なことから、多くの企業でビジネスコミュニケーションツールとして導入されるようになりました。
著者の西出ひろ子さんは、
「メールでは『確認するまでに時間が空いてしまう』『かしこまった雰囲気があるので気軽に連絡できない』という人でも、チャットという手軽さから使い慣れていく人も少なくありません。ビジネスチャットを使用したり、ビジネス上でLINEなどのSNSサービスを使用したりする場合、しっかりとルールを守って運用しないとトラブルに発展するリスクがあります」
と、注意する。
「まず、個人アカウントを用いてビジネスで使用するとリスクが生じるため、避けたほうがよいとされています。ビジネスで使用する際には、マナーを意識する必要があります。自社内はもちろん、やりとりのある取引先がビジネスにおけるSNSの使用に関して、どのような規定を設けているのかを確認しなければいけません」
西出さんは、直前でのキャンセルをSNS、ビジネスチャットで済ませようとするのは言語道断だと指摘します。親しい友人なら許してもらえそうですが、相手が仕事の関係者であれば、LINE などでの簡素な連絡は非常識といえるでしょう。
「相手によっては、常識外れな人と見なされることもあるので、SNSやビジネスチャットからの連絡だけでなく、電話やメールを使用すると気持ちが伝わります。また、直接会って、きちんと理由を説明して謝罪を求められることもあります。これらのツールは、いつでも気軽にやりとりできる性質上、相手の時間を奪ってしまいかねないので注意が必要です」
臨機応変に使いこなすことがベター
みなさまの周りには返信のマナーを知らない人はいないでしょうか。目上の人に「OK」「了解」などの返信をするのは失礼に当たります。「かしこまりました」「承知しました」を使いたいものです。
一方、上司や先輩が部下、後輩に対してスタンプを利用するのは、コミュニケーションとしては効果的だと西出さんは言います。
「上司や先輩からのスタンプ一つで、部下・後輩の気持ちが和んだり、癒やされたり、モチベーションアップにつながったりすることも、ビジネスマナーとしては必要なコミュニケーションとなります。上司や先輩からのスタンプにスタンプで返信することも、上司・先輩がそれをよしとする場合は問題ないでしょう」
と、西出さん。
「ただし、それを不快に思う上司や先輩には行わないのがマナーとなります。そこで大切なことは、メンバー同士で事前に確認し、一定のルールを決めておくことです」
テレワークを導入している企業が増加しているいま、マナーやルールを身につけておくことはとても大切です。できる人は相手に安心感を与え、できない人は相手を不快にさせます。皆さまはどちらでしょうか。この機会に覚えておきましょう。(尾藤克之)