台湾のコロナ封じ込めの立役者オードリー・タンの評伝

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

公共の利益に捧げる

   本書は、24歳で性別を超えた経緯、35歳でIT担当相になったいきさつ、コロナ禍でいち早くマスクマップアプリの開発を指揮した舞台裏を明かしている。

   著者はタンが大好きな3つの言葉を紹介している。「共有」「共作」「貢献」。

   そして、いつもこう言って、みんなを励ましているという。

「ネットの内容をダウンロードするだけの人になるのではなく、自分の作品をアップロードして、ネットへの貢献者になろう」

   タンは、自身の仕事の日誌をすべてネットにアップロードしているという。だから、現場に行かなくても、参加した毎回の会議資料を入手できる。本人への取材のほか、こうした資料が執筆に役立ったそうだ。

   台湾は、2003年のSARSの惨劇から教訓を得て、17年後の新型コロナウイルスとの戦いでは、世界が注目する大きな成果を上げた。オードリー・タンのほかにも、多くの貢献者がいると、本書は結ばれている。

   日台の彼我の差を痛感するとともに、その中核にある考え方を知ることは有益だろう。

   ちなみに本のタイトルの冒頭の「Au」はタンのネット上のハンドルネームだ。

「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」
アイリス・チュウ、鄭仲嵐著
文藝春秋
1400円(税別)

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